新世代の高級車・セルシオを大々的にアピール! 先進テクノロジーの塊で、欧米の取材陣も釘付けに|第28回 東京モーターショー1989 トヨタ編【2】

トヨタ4500GTのブースの様子。写真には写っていないが、このブースの回りにはボルボ、プジョーなど名門メーカーが並んでいる

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物品税がなくなり新たに消費税が導入されあらゆる環境が変わった1989年。第28回の東京モーターショーからは会場が晴海から幕張へと変わった。バブル期を象徴する名車が多く登場し、豊作の年だった。

【第28回 東京モーターショー1989 トヨタ編 vol.2】
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 バブル景気によってジャパン・アズ・ナンバーワンを誇示してきたトヨタが満を持して放ったのが、新世代の高級車をめざして開発したセルシオだ。日産のシーマに対するトヨタの回答で、ショー直前に発表された。トヨタはセルシオを目立つ位置に展示して先見性を強烈にアピールしている。

 精緻で群を抜いて静かな4LのV型8気筒ハイメカツインカムを筆頭に、電子制御エアサスペンション/ピエゾTEMS付きサスペンション、自発光式のオプティトロンメーター、超音波雨滴除去機能を盛り込んだドアミラーなど、すべてが先進テクノロジーの塊だ。日本のマスコミやエンジニアだけでなく、欧米のジャーナリストや自動車関係者も熱い視線を浴びせている。

 ショーカーではトヨタの技術の粋を集めて開発された近未来のスポーツカー、トヨタ4500GTが注目の的だ。1気筒あたり5バルブの4.5L V型8気筒DOHCエンジンを低いノーズの中に収め、トランスアクスル方式の6速MTを組み合わせた。個性的なルックスのボディはCd=0.29を誇る。最高速度は300km/h以上、ゼロヨン加速は13秒台の俊足だ。
【画像8枚】トヨタは88年からワークス体制でル・マン24時間レースなどの耐久レースに挑むようになっていた。88C-Vに続くグループCカーが89C-Vで、3.2LのV型8気筒DOHCのエンジンにターボを組み合わせている


>>トヨタブース|東京モーターショーで日本と海外の自動車メーカーが同じ敷地内に展示するのは初の試みである。トヨタはショー直前に発表したセルシオやMR2、セリカ、ランドクルーザー80などを積極的に展示した。また、トヨタの技術の粋を集めた4500GTやセラ、ソアラに積んだ2サイクルの試作エンジンなどもお披露目する。

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第28回 東京モーターショー1989 トヨタ編(全3記事)
初出:ハチマルヒーロー 2017年9月号 Vol.43

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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TEXT:HIDEAKI KATAOKA/片岡英明 PHOTO:JAMA/一般社団法人 日本自動車工業会

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