日本人として初のWRC優勝、篠塚建次郎さんが駆ったギャランVR-4とは。｜パリ・ダカ優勝でも知られるラリードライバー篠塚建次郎さん逝去

2024年3月18日、ラリードライバーの篠塚建次郎さんが逝去した。

1948年生まれの篠塚さんは1971年に三菱自動車に入社。
同社の社員ドライバーとして活躍し、1976年にはランサー1600GSRでサファリラリーにも出場。1986年からは俳優の夏木陽介さんとともにパリ・ダカールラリーに参戦し、以降長年にわたってパリ・ダカで活躍している。
1991年・1992年にはギャランVR-4で世界ラリー選手権（WRC）のアイボリーコーストラリーを2連勝し、日本人初のWRC優勝。
1997年のパリ・ダカールラリーではパジェロを駆って日本人初の総合優勝を果たすなど、国内外のラリー競技で輝かしい功績を残した。

>>1997年ダカールラリー優勝時の表彰台。篠塚建次郎さんとコ・ドライバーのH・マーニュさん。

晩年まで様々な形でラリードライバーとして活躍し、2022年には現役ラリードライバーとしては初めて日本自動車殿堂入りも果たしている。

篠塚さんの功績をしのび、WRCに参戦したギャランVR-4を紹介しよう。

WRCでの可能性を示した傑作車
三菱 ギャランVR-4

【画像10枚】篠塚建次郎がWRCで日本人ドライバーの初優勝を飾ったギャランVR-４

ギャランVR-4がリリースされたのは1987年のこと。
ターボ化の早かった三菱だが、それまではSOHCエンジンとの組み合わせで、DOHCターボは4G63型を搭載したこのギャランVR-4と４G61型のミラージュサイボーグが初となった。

グループ2/4時代はランサーターボ、グループB時代はスタリオン4WDでラリー活動を続けていた三菱だったが、1987年にWRCがグループA規定に変わったことで、この年モデルチェンジによって市販車の状態で4WD+ターボシステムを持つギャランVR-4をラリーのベースカーとして選定した。

>>三菱ギャランVR-4グループA仕様。1992年のコートジボワールラリーで優勝した篠塚建次郎車。

アンドリュー・コーワンが率い、英国・ラグビーに本拠を置くラリーアート・ヨーロッパを活動拠点に1988〜1993年までWRCに参戦する。

2年目となった1989年は、全13戦中の6戦にエントリー。
第9戦の1000湖ラリー（フィンランド）ではミカエル・エリクソンが優勝。イギリスで開催された最終第13戦のRACではペンティ・アイリッカラが優勝を果たしている。ラリー運営に手慣れたラリーアート・ヨーロッパの手腕も見事だったが、ギャランVR-4が持つ潜在能力の高さが示される結果だった。
篠塚さんもラリー・ニュージーランド（6位）など4戦に参戦している。

ギャランVR-4が参戦した89〜93年(途中からランサー・エボリューションに変更)のメイクス世界ランキングは、89年が4位、90年、91年が3位、92年が5位と、全戦フルエントリーでなかったことを考えれば、上出来といえる結果だった。
その中で、1991年のコート・ジボワールラリーでは、篠塚建次郎さんが日本人として初のWRC優勝。翌年もコート・ジボワールラリーで優勝し、連覇を果たしている。


>>ステージやラリーの性格に応じて補助灯やガード類の装備は変更された。

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