【FP用LZ型エンジン】いよいよエンジンの本丸に突入! 館長の解説にも熱が入る|珍車秘宝館 第18回 【1】

フラットタイプのヘッドカバーは後期型のデザイン。初期モデルはとても貴重で、丸みのあるかまぼこ型のデザインに、黒の結晶塗装が施されていた。ギリギリまで軽量化するために、ヘッドカバーのラインは「NISSAN」の文字まで削ったものもあるようだ。

       
LZ型エンジンの外観、仕様の確認にはじまり、前回はオイルパンをはぐって腰下をチェックした。いよいよ今回は、ヘッドカバーをはずして本丸のヘッドを検証!

【珍車秘宝館 第18回 LZ型エンジン 3 vol.1】

LZ型エンジンの3回目は、いよいよ本丸となるヘッドの検証に突入となる。LZ型エンジンは、1973年から83年にかけて、レースやラリーで使用されたDOHC16バルブヘッドを搭載したレーシングユニットで、LZ14、LZ18、LZ20B、LZ22Sの4種類があった。ただし、基本的には同じヘッドが使われているようだ。

ヘッドカバーのボルトをゆるめながら、館長が解説をはじめてくれた。

「ヘッドの特徴としては、バルブ挟み角が34度という、当時では驚異的に狭い角度で設計されています。その当時のエンジンでは、50度から70度程度が一般的です。これにはヘッドボルトとの位置関係がとても重要で、S20型エンジンなどは、ヘッドボルト頭部をよけるようにカムシャフトが配置されているので、必然的にカムシャフトが外側に離れてしまい、その結果、バルブ挟み角が大きくなってしまいます。そのため、燃焼室が深くなり、エンジン運転時の燃焼が極端に悪くなってしまうというジレンマがあったと思います」と館長。

【画像12枚】LZ型エンジンの3回目は、いよいよ本丸に突入! 館長が熱く解説してくれたパーツの数々


>>1973年からの規則変更に合わせ、72年6月から開発がスタート。9月に図面が完成し、73年1月に初号機のテストを開始。2月には実車走行テストを行い、2月28日にJAF公認を取得。5月3日に開催された「73日本GP」でデビューし勝利を飾った。


>>LZ型のヘッドでは、各気筒にウオーターアウトレットが設けられていて、冷却水は外付けのウオータージャケットを通ってラジエーターに送られる。ウオータージャケットは一般的なパイプではなく、4番から1番に向けて太くなる形状となっており、冷却水が効率よく流れるように計算されている。


【2】へ続く


初出:ノスタルジックヒーロー2018年10月号 Vol.189
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

珍車秘宝館 第18回(全3記事)

関連記事:珍車秘宝館

photo&text:珍車秘宝館 館長

RECOMMENDED

RELATED

RANKING