インディペンデント・ツインスクロールターボ! マイナーチェンジにより最新技術が投入され、さらなる進化を遂げたRX-7|1990年式 マツダ サバンナRX-7 GT-X【1】

ベースは1990年式のGT-Xで、見ての通り内外装からエンジンルームまで新車のような状態に仕上げられた1台だ

       
【孤高のロータリーエンジン 1990年式 マツダ サバンナRX-7 GT-X vol.1】

 13B型ターボや新開発サスペンションなどを投入し、欧州のスポーツカーにも引けを取らないポテンシャルを備えたFC3S。1989年4月のマイナーチェンジでは、各部をリファインすることでスポーツカーとしてのレベルがさらに高められた。

 最大のハイライトはエンジン。13B型はエンジン本体にファインチューンを施し、新開発技術を投入。最高出力は従来の185psから205psまで高められた。この大幅なパワーアップは、圧縮比の向上と新開発タービンによるところが大きく、圧縮比は燃焼室表面の精度をさらに高め、ノックセンサーの信号入力をデジタル化することで8.5対1から9.0対1にアップ。全域でのレスポンス向上や、高速域でのパワーアップを実現した。

 一方、新開発のインディペンデント・ツインスクロールターボは、大きく分けると3つの特徴を備えている。ひとつ目は、タービンブレードに排ガスが当たったときに生じる衝撃力をより高める形状とした「邀撃効果向上型タービン」。

 2つ目は、燃焼室排気ポートからスクロール出口までの排気系をフロントとリアで完全に独立させ、低速から高速まで全域にわたってパワーを発揮させることが可能な「完全独立ツインスクロール」。そして3つ目が、ウエストゲートに設置されたパワーバルブの開閉をコンピューターでコントロールし、適切な過給圧を維持することで低速域のトルクを大幅にアップさせる「電子制御ウエストゲートバルブ」だ。

 これら独自の特徴を持つ新タービンと前述の圧縮比アップにより、いっそうパワフルに生まれ変わったわけだが、ローターやフライホイールといった回転系をトータルで約16%の軽量化を施したことで、よりリニアなアクセルレスポンスも手に入れた。ちなみに、最高出力が一挙に20 psもアップしたことから、開発陣は13B型というエンジン型式を変更しようかと考えたというエピソードもあるようだ。

【画像18枚】欧州のスポーツカーにも引けをとらないポテンシャルを備えていたFC3Sは、1989年のマイナーチェンジによって、さらなる進化をとげた


>>13B型ターボや新開発サスペンションなどを投入し、欧州のスポーツカーにも引けを取らないポテンシャルを備えたFC3S。1989年4月のマイナーチェンジでは、各部をリファインすることでスポーツカーとしてのレベルがさらに高められた。


>>80年代のスポーツカーのアイコンとも言えるリトラクタブルヘッドライト。あこがれた読者も多いことだろう。


>>インタークーラーに走行風を導くために、ボンネット上には大型のエアインレットを設置。後期GT-Xはアルミ製となる。



サバンナRX-7 GT-X(FC3S)主要諸元

全長×全幅×全高 4335×1690×1270mm
ホイールベース 2430mm
トレッド前/後 1450/1410mm
車両重量 1250kg
エンジン型式 13B型
エンジン種類 2ローター・ロータリーターボ
総排気量 654×2cc
圧縮比9.0:1
最高出力 205/6500ps
最大トルク27.5/3500kg-m/rpm 
燃料タンク 70L
変速比 1速3.483/2速2.015/3速1.391/
4速1.000/5速0.806/後退3.288
最終減速比 4.100
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 205/60R15(前後とも)
発売当時価格 248.6万円




【2】へ続く

初出:ハチマルヒーロー 2016年11月号 Vol.38
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1990年式 マツダ サバンナRX-7 GT-X(全3記事)

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text:Rino Creative/リノクリエイティブ photo:Motosuke Fujii(Salute)/藤井元輔(サルーテ) cooperation Total seven/トータルセブン

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