出演料のすべてをつぎ込んだガルウイングスーパーカー|メルセデス・ベンツ 300SL|総力取材!! 西部警察車両

裕次郎さんが所有していた時のままのナンバーが残されている300SL

       
「ハチマルヒーロー」ではこれまで幾度となく大ヒットテレビドラマ「西部警察」を取り上げてきた。 しかし、紹介してきたクルマたちは熱心なファンが作り上げたレプリカ車両(それはスゴイことだが)。 今回は満を持してドラマで使用された本物の車両が登場。石原裕次郎記念館の全面協力で細部までお見せする。

【小樽石原裕次郎記念館所蔵車両完全収録 総力取材!! 西部警察車両  メルセデス・ベンツ 300SL】

 裕次郎さん生涯の愛車となったメルセデス・ベンツ300SLガルウイング。このクルマを裕次郎さんが手に入れたのは、23歳の頃。世界的にも希少でプレミアムな300SLをその年齢で購入してしまうとは……まさに男の中の男、スターである。

 300SLは、1954年のニューヨークショーでデビュー。レーシングカーベースのスペースフレームや世界初のガソリン直噴エンジンの搭載、ガルウイングドアが大きな特徴のスーパーカーだ。このガルウイングバージョンは1955年から1957年までの間にわずか1400台が生産されたのみ。裕次郎さんが購入したとき、日本に存在したのはオープンバージョンのロードスターも含めて数台(3台が有力)しかなかったと言われている。

 裕次郎さんは世界的な名車を手に入れるために、出演料のすべてをつぎ込んだ。「ギャラをつぎ込んだのは、このクルマと結婚式のとき。でも、このクルマのほうが充実感があったらしい」と、裕次郎さんの妻、まき子夫人は語っている。後先を考えずにすべての財を投げ打つ……じつに裕次郎さんらしいエピソードだ。

 もうひとつ、小樽の記念館に300SLが飾られたときの裏話を紹介したい。「キレイな状態で展示したいと思い、灰皿に残っていた吸い殻をすべて捨てて、車内も掃除してしまったんです。今考えれば、もったいないことをしてしまいましたよね。裕次郎さんが残したものを捨ててしまったんですから。後悔しています」と同館営業部長の夏伐亮一さん。ファンの気持ちを大切にしているからこそ出てきたその言葉に、同館の想いが詰まっていると感じた。

>> 【画像9枚】ガルウイングを採用したのは、レーシングカーをベースとした鋼管スペースフレーム構造が大きく影響。開口部の敷居が高くなってしまったことと乗降性確保のためにやむなく採用されたと言われている300SL




>> 最愛のまき子夫人よりも長い付き合いとなった300SL。ヘッドランプは後に登場した300SLロードスターのものに付け替えられている。





>> 走行距離は3万9646km。内外装ともにコンディションが良く、裕次郎さんが大切にしていたことが分かる。「今でも年に2〜3回はワックスがけをしています」と夏伐さん。



初出:ハチマルヒーロー 2016年 9月号 vol.37
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

メルセデス・ベンツ 300SL(全1記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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