S31Z。水害によるダメージを受け一時は廃車を考えるも、夫の後押しもあって修復を決意|1977年式 日産 フェアレディZ-T【2】

幼かった頃の娘さんを抱いてZと共に写真に収まるオーナー。S31Z標準装備のアルミホイールが、当時はゴールドであったことが分かる

       
【1】から続く

【Zの名を残す者 1977年式 日産 フェアレディZ-T vol.2】

 S31で最も大きいトピックは、新グレードZ‐Tが追加されたことで、前述の電動ミラーに加え、アルミホイール、パワーウインドー、カセットステレオ付きAM/FMラジオなどを標準装備した最上級グレードとなっていた。

 そんなS31フェアレディZ-Tを、オーナーは77年当時に新車で購入。それ以降、結婚や出産を経ても愛車として乗り続けてきた。
 しかし、そんなS31を襲ったのが、2004年7月に発生した新潟・福島豪雨、通称「7・13水害」だ。五十嵐川ほか新潟県中越地方の各所で堤防が決壊し、広範囲に浸水が発生。

 死者16名、半壊した建物が5000棟を超える大きな被害をもたらした水害である。オーナーのフェアレディZもこの水害による浸水被害を受け、エンジンや内外装全てに大きなダメージを負ってしまったのである。

 水没部分の修復はZ専門のショップでも現実的にはなかなか難しいと言われ、一時は廃車も頭をよぎったというが、同じく旧車好きである夫の後押しもあり、修復を決意。夫の旧車仲間に声をかけて、長期にわたる完全復活までの道のりが始まったのである。

【画像19枚】水害によってダメージを受けてしまったフェアレディZだが、夫の後押しもあり復活を目指すことに。当然ながら全て交換となったシートや内装のファブリック類など。努力が実って新車時のような輝きを取り戻している



>>基本レイアウトはS30と共通だが、S31からはセンターコンソール下部に半ドアとライトの消し忘れ警告灯が追加された。

>>ボディ各所に入り込んだ水と砂をきれいにするため、内装もすべて外していった。パーツ類はほぼすべてドナーカーからの移植となっている。

>>浸水してしまったS31Zに元々搭載されていたのL20E型エンジン。復活させるには多大な手間とコストが必要なため、諦めざるを得なかったという。



>> オリジナルと同様のホワイトで再塗装されたボディは、浸水被害に遭ったとは思えない美しい姿によみがえっている。


1977年式 日産 フェアレディZ-T(C-S31J)

全長4115mm
全幅1630mm
全高1295mm
ホイールベース2305mm
トレッド前/後1355/1345mm
最低地上高150mm
室内長820mm
室内幅1390mm
室内高1075mm
車両重量1135kg
乗車定員2名
登坂能力tanθ0.46
最小回転半径4.8m
エンジン型式L20E型
エンジン種類水冷直列6気筒SOHC
総排気量1998cc
ボア×ストローク78.0×69.7mm
圧縮比8.6:1
最高出力130ps/6000rpm
最大トルク17.0㎏-m/4400rpm
変速比1速3.321/2速2.077/3速1.308/4速1.000/5速0.864/後退3.382
最終減速比4.375
燃料タンク容量65L
ステアリング形式ラックアンドピニオン
サスペンション前/後ともストラット式独立懸架・コイル
ブレーキ前/後ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも195/70HR14
発売当時価格171.5万円

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年4月号 Vol.192
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1977年式 日産 フェアレディZ-T (全3記事)


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【3】へ続く

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Jun-ichi Okumura/奧村純一

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