ソアラ、そのベンチマーク【1】高速鉄道「TGV」のデザインも手がけたデザイナーが描いたクーペフォルム| 1984年式 BMW 635CSi

逆スラントのノーズと大きなキドニーグリルが、古き良きBMWの象徴。フロントエアダムは純正で、ロービームは後期のプロジェクタータイプに交換されている

       
美しさと高性能を兼ね備える
ヨーロッパの正統派クーペ


【 1984年式 BMW 635CSi Vol.1】

 世界で通用する、国産初の本格グランツーリスモとして世に送り出された初代ソアラ。しかし、1980年代初頭の国産車において本格グランツーリスモは不在。そこで、目標とし、ベンチマークにしたと言われるのがメルセデス・ベンツ・SLCと、ここで紹介するBMW6シリーズだ。

 1976年にCSシリーズの後継としてデビューしたE24・6シリーズ(以下6シリーズ)。4.7mオーバーの全長を持つ優雅なクーペボディは、フランスの高速鉄道「TGV」のデザインも手がけたデザイナー、ポール・ブラックによるもので、高級感や気品が漂うとともに、スポーティーさも表現。そのスタイリングは「世界で一番美しいクーペ」と評され、デビューから40年たった今でも色あせていない。また、逆スラントノーズは当時のBMWの象徴であり、大きなキドニーグリルがアイコンとなっているのは現在も同じだ。

 搭載されるエンジンはすべて直列6気筒で、追加されたものや消滅したものも合わせると、2.8Lから3.5Lまで5種類もラインナップされた。一方サスペンションは、前ストラット/後セミトレーリングアームの組み合わせ。今となってはごく一般的な形式だが、当時もっとも効率的なシャシーと考えられ、BMWの伝統である優れたハンドリングと安全で信頼性の高い直進安定性をもたらしてくれる。


>>【画像17枚】純正アイテムのウレタン製のリアスポイラーなど。小ぶりだが、高速走行時には大きな効果を発揮する


null

>> 美しさと高性能を兼ね備えるヨーロッパの正統派クーペ




>> バブル期の国産車ではマストアイテムだったサンルーフも正常に作動。ゴム類の供給がまだ行われているため、雨漏りのトラブルも心配ないそうだ。


1984年式 BMW 635CSi(E24)※本国仕様


SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4755×1725×1365
ホイールベース(mm)  2630
トレッド前/後(mm) 1430 / 1460
車両重量(kg)  1430
エンジン型式  M30型
エンジン種類 直列6気筒SOHC
総排気量(cc) 3430
ボア×ストローク(mm) 92.0×86.0
圧縮比 10.0:1
最高出力(ps / rpm) 218 / 5200
最大トルク(Nm / rpm) 310 / 4000
変速比 1速 2.478 / 2速 1.478 / 3速 1.000 /
4速 0.728 / 後退 2.090
最終減速比 3.250
ステアリング ボールナット
サスペンション前/後 ストラット / セミトレーリングアーム
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク / ディスク
タイヤ 220 / 55-390(前後とも)
発売当時価格 本国仕様のため不明



【2】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2016年 3月号 vol.34
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1984年式 BMW 635CSi(全3記事)

関連記事:ソアラ伝説

関連記事:ソアラ

関連記事:BMW

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : AKIO HIRANO/平野 陽

RECOMMENDED

RELATED

RANKING