S2000に載った、着せ替えZ【2】簡単なことではない、異車種のドッキング|1975年式 日産 フェアレディZ

S2000のシャシーにS30Zのボディを、ラジコンカーのようにスワップ。見慣れたL型6気筒に変わり、ホンダS2000のF20C型が鎮座する。

       

S2000のフレーム&パワートレーンに
S30Zのボディを架装した新パッケージ!

シャシーとボディを分離し、自分好みの1台に仕上げる。そんな常識ではありえないウルトラCをやってのけたのが、広島県福山市にある「ケーズブラスト」が手がけたS30Z。このかつてない移植プロジェクトを実現するため、ベースとなるS30Zはボディ各部のサイズを徹底的に計測。あらゆる車種の諸元表と照らし合わせた結果、ドナーに選ばれたのはホンダのFRスポーツS2000。同じFRであることはもちろん、ショートデッキ&ロングノーズというコンセプトのS30Zと似たスタイルを持つ。

【1975年式 日産 フェアレディZ Vol.2】

【1】から続く

 異車種のドッキングは決して簡単なことではない。ケーズブラストではS2000フレームとS30Zボディの軸を合わせるための治具を製作。ミリ単位の精密さで位置合わせを行ったことで、リフトアップして下面を確認しても、加工個所がほとんど分からないほど完璧な合体を実現。ホイールベースの関係から、リアのホイールアーチがオフセットしていることも、気づかないほど自然な作り込みとなっている。


>>【画像19枚】迫力たっぷりなグラマラスボディに変身させるパンデムのワイドボディキットなど。この外観からは、シャシーなどの中身がホンダのS2000とは誰も想像ができないだろう

 F20型エンジンは、HKSのスーパーチャージャーによるパワーアップを実施。フレームの関係から、インタークーラーのパイピングに加工が施されているが、S2000用のキットを、基本的にボルトオンで装着。同じくHKSのF‐CON iSで燃調が取られたこのエンジンは、後期のF22C型以上のトルク感。さすがにL28型改3.2Lクラスとまではいかないが、それでも日常使いには必要十分以上のパワーとトルクに加え、VTEC特有の高回転まで回す楽しみが味わえるエンジンとなっている。




>> エンジン搭載部や足まわりを含めた基本シャシーはすべてS2000に変更。大がかりな加工にもかかわらず、リフトアップして下から見ても、それを感じさせない完成度の高さ。シャシーがS2000でも、構造変更後の車検証の型式がS30のままというのも特徴。


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>> 元々低回転のトルクが薄いといわれるF20C型だが、L型フルチューンと比べればそれは顕著。そのためHKSのS2000用スーパーチャージャーキットを装着することで対策。





>> フロントのインタークーラーも、このスーパーチャージャーキット用。ボディがS30Zのため、パイピングは加工している。







1975年式 日産 フェアレディZ(S30)

SPECIFICATION 諸元
■エクステリア:パンデム製ワイドボディキット+K’s BLASTワンオフ
■エンジン:F20型+HKS製スーパーチャージャー
■制御系:HKS製F-CON iS
■排気系:K’s BLAST製ワンオフ
■駆動系:S2000用ミッション&デフ移植
■サスペンション:S2000移植+ユニバーサル製エアサス
■ブレーキ:S2000移植
■インテリア:S2000移植+内装張り替え
■タイヤ:ハンコック エクスタV720 (F)240/40R17 (R)275/40R17
■ホイール:HRE 540 (F)17×9J (R)17×10J

【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年11月号 vol.018
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1975年式 日産 フェアレディZ(全4記事)

関連記事: フェアレディZ

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【1】から続く

text : SHINYA KUSHIURA/串浦愼哉 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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