いよいよ1.8リットル仕様のTC16-C1のテスト開始! しかし想定外のトラブル発生!?|「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」がテスト走行【その3】

レッドマンコーナー内側にマシンを止めて、相棒を見つめる河上さん。背中から悔しさがにじみ出ていた。

       
OS技研が開発した4気筒DOHCエンジン「TC16-C1」。これをPB110サニー・エクセレントに搭載し、クラシックカーレースに参戦する「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」は雑誌「NOSTALGIC SPEED」において連載中の人気企画だ。

そのOS技研がいよいよレース本番を目前に、走行テストを実施した。
その様子をリポートしていこう

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【画像10枚】テストを開始したサニー・エクセレント。コース上でトラブルが発生してしまったが……?


【その1】伝説のエンジンTC16型の市販化に向けてレース参戦! OS技研「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」がテスト走行を実施!

【その2】完成度も十分の2.1リットルと新開発の1.8リットル。どちらのTC16をテストする?|「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」がテスト走行


ベテランドライバーにステアリングを委ね
ノーマルクランクの暫定仕様でテストしたが……

 L14型エンジンをベースにした1.8リットル仕様のTC16-C1のテストは、レースまで2カ月に迫った9月13日に岡山国際サーキットで行われた。ただし、フルカウンター仕様の79mmストローククランクは、10月初旬の完成予定だったため、今回は暫定仕様として熱処理を施したL18型用ノーマルクランクと組み合わせた。フィーリングのチェックとはいえ、ノーマルの115㎰から2倍以上のパワーとなるTC16に、果たしてノーマル改のクランクは耐えられるのか、開発陣は万全の準備を期しながらも、一抹の不安を感じていた。

ドライバーの河上正治さんは、1980年代に中山サーキットで開催されていた旧車レースで活躍し、その後は全日本ジムカーナに20年以上参戦したベテラン。6月のテストの際に、1分48秒のタイムも河上さんが記録したものだ。

「2.1リットル仕様は満足できるレベルにきていました。どこから踏んでもドンと前に出ますし、扱いやすくて速い。回転を抑えて、足まわりを煮詰めれば、十分トップ争いができる実力はあると思いますが、『もっと上を見たい』とチャレンジするのはOS技研らしい」と語る。実は河上さんとOS技研は40年来の付き合いで、妥協しない開発姿勢は理解している。

ちなみにサスペンションやブレーキなどは、好調だった6月のテストから変更していない。
プラグを7番からレース用の9番に交換し、ジェットに緩みなどを含めて各部の点検を終えて、11時20分にコースイン。

「1周目は様子見、2周目から徐々にアクセルを開けていく」という河上さんの言葉どおり、2周目はより甲高いサウンドがホームストレートを駆け抜ける。いよいよこれからと思った3周目、いくら待ってもサニーは帰ってこない。

開発陣に緊張が走った矢先、コントロールタワーから「コース上にオイル漏れ発生」の場内アナウンスが届く。急ぎ3番ピットから一番近くにコースが見えるレッドマンコーナーへと駆け上がるとコースサイドに止まるサニーの姿が目に飛び込む。1.8リットル仕様のTC16-C1のシェイクダウンは、残念ながら3周で終えることとなった。


>>今回は、リミットを9000rpmに抑えて走行。回るには回っているが、エンジンがバラつき、2周目にはパワー感が低下した。



>>レッドマンコーナー内側にマシンを止めて、相棒を見つめる河上さん。背中から悔しさがにじみ出ていた。




>>状況を若林さん(写真中央)と富松拓也チーフメカ(写真右)に説明する河上さん。クラッチを繋いでも反応しない状況から、最初はミッションまわりのトラブルかと思われたが……。



【その4】バルブクラッシュの原因判明。2リットルユニットも加えて続く新エンジンのテスト!|「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」がテスト走行

photo : Yukio Yoshimi吉見幸夫 /text:Shinichi Yamazaki/山崎真一

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