ケンメリ最終モデルのワンオーナー車【2】豪華装備の4ドアセダンは、C110スカイラインのキモの一つ|1977年式 日産 スカイライン 2000 GT-E Lタイプ エクストラ

黒のレザーステアリングは、GTX-E以外の2000GT系で採用された。

       
【1977年式 日産 スカイライン 2000 GT-E Lタイプ エクストラ Vol.2】

【1】から続く

 「ケンメリ」に市場が求める広さと豪華装備を与えることを決意した日産。

「質、量ともに国際基準を上回るクルマ」をテーマに開発されたボディは、全長60mm(6気筒のGTシリーズ)、全幅30mmほど大きくなり、全長4460mm、全幅1625mmにまで拡大。C10で採用され、スカイラインのアイデンティティーのひとつとなったサーフィンラインも継続されたが、C10のラインが張り出すような形状は見送られ、スプーンでえぐったような面構成で再現する高度なボディデザインをまとうことになった。

 また、スカイラインの意匠としてあまりにも有名となった丸形4灯テールランプは、このC110で初めて採用されたデザイン。以降のスカイラインへと伝承されていくこととなる。
 さて、先にも述べたように、絶対的スポーツ性能と「間」を置くことを決めたケンメリは、レースの世界を牛耳っていたGT‐Rの市場投入を翌1973年に先送りしてでも、広い居住空間を持つ豪華なスカイラインの販売に意欲を燃やしていた。そして、その思いは見事に結実し、発売半年後には月に1万7000台も売れる人気車へと成長。結果、4ドアモデルの上級グレード車を中心としたC110スカイラインの総販売台数は63万8000台となり、現在に至るまで史上最も売れたスカイラインとして名を残している。


>>【画像18枚】大文字小文字の使い方は同じでも、C10スカイラインよりもポップに仕上がっているのが特徴のケンメリ用エンブレムなど




>> インパネやシフトノブなどにウッド素材が使われていたことからも、当時のスカイラインが高級志向であったことがうかがえる。





>> 5速マニュアルとATの3速ニッサンマチックが選べたが、オーナーは5速マニュアルを選択。青のシフトパターン表示がGTであることを物語っている。





>> AM/FMラジオとオートリバース式カセットのセットは、GTX-Eとエクストラシリーズでないと装備されない豪華装備だ。





>>信頼性を優先するオーナーは、あえてパワーウインドーが装備されないグレード、GT-E・Lエクストラを選んだそうだ。



1977年式 日産 スカイライン 2000 GT-E Lタイプ エクストラ(GC111)


SPECIFICATION 諸元
全長 4460mm
全幅 1625mm
全高 1395mm
ホイールベース 2610mm
トレッド前/後 1370 / 1350mm
最低地上高 165mm
室内長 1790mm
室内幅 1355mm
室内高 1135mm
車両重量 1200kg
乗車定員 5名
登坂能力tanθ 0.45
最小回転半径 5.2m
エンジン型式 L20E型
エンジン種類 水冷直列6気筒SOHC
総排気量 1998cc
ボア×ストローク78.0×69.7mm
圧縮比 8.6:1
最高出力 130ps / 6000rpm
最大トルク 17.0kg-m / 4400rpm
変速比 1速 3.321 / 2速 2.077 / 3速 1.308 / 4速 1.000 / 5速 0.864 / 後退 3.382
最終減速比 4.111
燃料タンク容量 60L
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール
サスペンション前/後 ストラット式独立懸架 / セミトレーリングアーム式独立懸架
ブレーキ前/後 ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 6.45S14-4PR
発売当時価格 135.2万円


【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年10月号 vol.183
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1977年式 日産 スカイライン 2000 GT-E Lタイプ エクストラ(全3記事)

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【1】から続く

text : AKIO SATO/佐藤昭夫 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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