4バルブ×3気筒=12バルブ、DOHCインタークラーターボの超ハイスペック! アルト ワークス RS-X 2

       
1987 SUZUKI ALTO WORKS RS-X
スズキ アルト ワークス RS-X





 新開発のF5A型エンジンで、クラス初となるDOHCインタークーラーターボで武装し、クラス最高の64psをマークし、「ワークス」の名を冠したアルト、アルトワークス(以下ワークス)がデビューしたのは、87年2月だ。

 カムシャフトのプロフィールはワークス用にセッティングし、1気筒あたり4バルブの計12バルブを2本のカムシャフトで駆動する。吸排気効率を高めるため、バルブ面積を最大限に確保。
バルブ1本あたりの重量軽減により、9000rpm以上でもサージングせずに安定させ、レッドゾーンが9500rpm以上という、超高回転型の特性を可能としている。

 これに高速型水冷ターボチャージャーを組み合わせ、0.9㎏/㎠の最大過給圧を発揮。排気マニホールドの直後に組み付けられるため、ターボラグはゼロに近い。
また、高回転、高出力にともなうエンジンオイル温度の上昇を抑えるため、小型軽量の水冷式オイルクーラーを搭載している。

 空燃比制御はスズキが誇るEPI(電子制御燃料噴射)システムを採用。
また、クラス初となるESA(電子進角)システムで点火時期の精度を高めたことも、超高回転型のターボエンジン実現に、大きく貢献している。

 こうして絞り出される64psの最高出力がそのまま、自動車業界の「自主規制」の数値になったことは、当時を知るカーマニアならご存じだろう。

 この、贅沢なエンジンを搭載するワークスは3種類。
ベーシックなRS-S、ワークス専用のエアロパーツをまとったRS-X、RS-Xと装備は同じながら、クラス初のフルタイム4WDを採用したRS-Rから選ぶことができた。
いずれもインテリアはほぼ同じ仕様で、専用のステアリング、左右非対称のバケットシートでスポーツ走行に備えた。

  排気量こそ543ccと軽自動車の規格内に収まっていたが、普通車にも決して引けをとらない仕様となっていた。
パワーウエイトレシオはおよそ5.4kg/psで、現代のスポーツカーとしても優秀な数値だ。
当時は下手なスポーツカーをカモれるくらい速く、ジムカーナやラリーにも参戦。軽自動車といえども、クルマ好きにも一目置かれる存在であった。

 





RS-XとRS-Rに装着されるバンパー一体式フロントスポイラー、バンパー一体式リアスカート、バックドアスポイラー、サイドエクステンションが精悍な印象を与える。左右非対称のグリルはRS-Sも装着。





クラス初のDOHCターボエンジンを搭載したアルトワークス。3気筒12バルブのF5A型エンジンはEPI(電子制御燃料噴射)システムとインタークーラー付きターボチャージャーを装備し、1Lあたり117.8psの高出力を誇る。また、高回転でも正確な点火タイミングを得るため、クラス初のESA(電子進角)システムを採用している。
 



SPECIFICATIONS
87年式アルト ワークス RS-X(CA72V型)
全長×全幅×全高(mm) 3195×1395×1380
ホイールベース(mm)   2175
トレッド前/後(mm)    1225/1200
最低地上高(mm)      140
車両重量(kg) 610
乗車定員       4名
最小回転半径   4.5m
エンジン型式   F5A型 
エンジン種類   直列3気筒DOHC
総排気量(cc) 543
ボア×ストローク(mm) 62×60
圧縮比  8.0:1
最高出力(ps/rpm)     64/7500
最大トルク(kg-m/rpm) 7.3/4000
変速比  1速3.818/2速2.277/3速1.521/4速1.030/5速0.903/後退4.000
最終減速比     5.133
ステアリング形式      ラック&ピニオン式
サスペンション前      マクファーソンストラット
サスペンション後      アイソレーティッド・トレーリング・リンク
ブレーキ前/後  ディスク/リーディング・トレーリング
タイヤ  145/65R13 69H(前後とも)
発売当時価格   98.5万円



掲載:ハチマルヒーロー Vol.10 ノスタルジックヒーロー2009年1月号増刊(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

  text:Hachimaru Hero/編集部 photo:Yuji Shimizu/清水勇治

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