価値ある一台に新たな命が吹き込まれた|1975 DATSUN 280Z GT-33

ボディカラーはGT-33専用のカスタムペイント。ボブ・シャープ・レーシングのイメージカラーであるブルー、ホワイト、レッドが効果的に配色されている。安宅さんは撮影車以外にもGT-33の現存車を2台発見していたそうだが、いずれもコンディションが悪く、オリジナリティーも損なわれていたそうだ。この状態のよさで発見できたのは奇跡に近い。

       
1970年代にSCCAやIMSAのプロダクションカーレースで数々のタイトルを獲得し、アメリカのモータースポーツシーンで確固たる地位を築いたボブ・シャープ・レーシング。その中心人物であるボブ・シャープは、当時華々しい戦績を誇るドライバー兼レーシング・コンストラクターであったと同時に、コネチカット州でダットサンのディーラーを営むビジネスマンでもあった。1974〜1976年頃には新車の260Zや280Zをベースにしたディーラー・スペシャルをプロデュース。今回は現存する280Zベースの特別仕様車「280Z GT-33」に、完璧なレストレーションを施した一台を紹介しよう。

【1975 DATSUN 280Z GT-33 Vol.2】

【1】から続く

 安宅さんは走行2万3000マイルを重ねていた同車を、オーナーから直接購入することに成功。下回りやサスペンションなど、傷んでいた部分は大きく補修し、エンジンのオーバーホールも実施した。同車は走行1万5000マイルの頃に以前のオーナーの手でターボ化されていたそうだが、タービンやエキマニなど、そのままでは使えない部品はダットサン・コンペティションパーツや信頼性の高い日本製を駆使して「リコンディション」。可能な限りオリジナルを尊重するため、各部のエクステリアパーツや14インチのミニライトホイール、カーペットやアームレストといった内装品など、コンディションのよいものはオリジナルのまま使用している。

 見事なレストアが施されたボブ・シャープ・レーシング280Z GT−33は、2015年のJCCSの会場で披露され、大きな注目を浴びた。こうしてまた価値ある一台に新たな命が吹き込まれたのである。


>>【画像23枚】ボブ・シャープ・レーシングのオリジナルの美しい曲線を描くフロントスポイラー。ボブ・シャープ・レーシングのセンターキャップを備えている14×6.5サイズのミニライトホイールなど




ボブ・シャープ・レーシングのイメージカラーが採用されたシート表皮もグッドコンディション。





ドアの内張りも新車当時のような美しさ





ラゲッジルームの状態も極めて良好。





排気量2753ccのL28型エンジンを搭載。エンジン本体には何も手はつけられていないが、特別装備としてボブ・シャープ・オリジナルのエキゾーストマニホールドとエキゾースト、ギア比3.9のLSDが備わっている。



初出:ノスタルジックヒーロー 2016年12月号 vol.178(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1975 DATSUN 280Z GT-33(全2記事)

関連記事: フェアレディZ

【1】から続く

photo:AKIO HIRANO/平野 陽 text:HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄

RECOMMENDED

RELATED

RANKING