【S30-S31 フロントメンバーとリアゲート、牽引フック編】写真で解説! S30系 日産 フェアレディZの前期・中期・後期の改良・変更・相違点を詳解

前・中・後期型S30系フェアレディZのフロントメンバーとリアゲート、牽引フックの変更点を詳解。

       
1969年の10月にデビューし、厳しい排ガス規制を乗り越え1978年まで生産されたS30、31系フェアレディZ。生産期間9年という歳月の中では大きなマイナーチェンジ以外にも、一見しただけでは分からないような改良が繰り返されている。ここにオリジナルコンディションを色濃く残した1971、1975、1977年式がある。これを題材に各年式による違いをマニアックに観察していきたい。

【オリジナルS30系フェアレディZ 前期・中期・後期の違い Vol.3 フロントメンバーとリアゲート、牽引フック編】

【2】から続く

 初代ZにはZ432や240Zもあるが、ここではL20型エンジン搭載の2シーターのS30に絞って話をしよう。S30は1969年から1973年までの前期、1973年から1975年までの中期、1975年から生産終了となる1978年を後期(S31)に分けることができる。その間にも細かなマイナーチェンジはあるが、ひとまずこの3タイプを考察したい。

 前期と中期の大きな違いはリアガーニッシュとテールランプ形状だ。いわゆるワンテールからツーテールへの変更が1973年10月から。さらに1974年11月に昭和50年排ガス規制をクリアするのに、付加装置を取り付けるためフロア形状を見直している。下から見るとセンタートンネルが異なる。フレーム強化によりボディ剛性もアップしている。中期の期間は短いが変更点は多い。

 マイナーチェンジは改良の歴史であり、生産末期に行くに従って、より良いものにしようという技術者の思いが伝わってくる。そして初期には初期ならではの、新モデルを生み出すまでのプロセスや開発の思想が読み取れる良さがあるわけで、どちらが優れているとは言い切れない。

 過去の修理により年式違いの部品となっている個体も数多いが、あえていうならば、年式にあった装備であることが、そのZの価値をより高めるものではないかと考える。

 そしてノーマルにこだわることなく、走りに徹したマシンを作るのであれば、ボディ剛性に優れた後期S31をベースとした方がいいというふうに、Zの楽しみ方は人それぞれだ。

 今回紹介しきれない部分は、反響があれば機会をあらためて紹介したい。


>>【画像27枚】オリジナルS30系フェアレディZ の前期・中期・後期の外観、エンジンなど

■けん引フック
リアバンパーの下にけん引フックが付いていた。前期は右側にのみフック型のものが付く。中期以降ではバンパーマウントの根本左右に、写真のようなタイプが付いていた。

前 期




中 期 後 期






■リアゲート
前 期
前期型はリアゲートのダンパーが1本だけのタイプ。リアウインドーは前期型だと通称縦熱線とよばれるが、このクルマはスタンダードなので熱線自体がない。Z-Lには熱線が付く。ゲートキャッチのボルトが丸頭になっている。




中 期 後 期
中期型からはダンパーが2本となる。このモデルはZ-Lなのでウインドーに熱線があり、横線になっているのも中期以降の特徴。リアのストラット変更により、アッパー位置が変更になっている。ゲートキャッチボルトが六角形。




■フロント第1メンバー

中期以降はラジエーター容量の増大により第1メンバーの形状が変更。下に大きく張り出しているのが分かるだろう。また、前期はフロント側サブフレームが薄く、中期からは太くなりリア側へ延長されている。

前 期



中 期 後 期



初出:ノスタルジックヒーロー 2016年10月号 vol.177(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

オリジナルS30系フェアレディZ 前期・中期・後期の違い(全6記事)

関連記事: Tales of the Fairlady

関連記事: フェアレディ


【1】【2】から続く

text & photo : NOSTALGIC HERO/編集部 COOPERATION:MIZUKAMI AUTO/水上自動車工業

RECOMMENDED

RELATED

RANKING