「よくこれだけの部品を見つけて仕上げたね」S30Zデザイナーの松尾氏「究極」のZのシートに収まりステアリングを握る|1972年式 日産 ダットサン 240Z Vol.3

全米のZ Carマニアが驚嘆、Zに魅せられし男が造り上げた「究極」のZ。

       
【1972年式 日産 ダットサン 240Z Vol.3】

【2】から続く

 アメリカでZの専門店や、車両の輸出入業を営む人物。そんな彼が自らのZに込めた思いを知りたくて、愛車の240Zを見せてもらった。

 彼のZのエンジンはボアアップを行い、L28型コンロッド&クランクを組み込み、バルブの大きい260Z用E88型ヘッドを組み合わせている。またミッションは4速から5速化し、新品のR200デフを組み込んで、サスペンションは、欧州仕様のダッツンコンペ純正スプリングへ交換し、車高を下げずにバネレートを上げている。

 世界中を見渡し、Zに純正装着された部品やZ用に用意されたオプション部品の中から、吟味を重ねて部品をセレクトして造り上げた「究極」のZ。全米最大級のZカーイベント「Zコンベンション」では、全米のZカーマニアが驚嘆し、そして魅了された。その結果5つのタイトルを獲得すると同時に、「殿堂入り」となる「ゴールドカップ」の特別なアワードも受賞。

 同イベントに出席していたS30Zデザイナーの松尾良彦さんは、「よくこれだけの部品を見つけて仕上げたね」とつぶやき、うれしそうに「究極」のZのシートに収まりステアリングを握った。まさに多くのZカーファンの心に残る1台といえるだろう。

「幻」のZスポーツワゴンと「究極」のZを造った男

 2014年のZカーコンベンションでは、ベストエクステリア、ベストエンジンルーム、ウルトラモディファイ部門での1位に加え、ベスト・オブ・ショー、さらに300点中290点以上を獲得したクルマだけに贈られる「ゴールドカップ」も受賞するという快挙を達成。27年間のZコンベンションの歴史中、1台のクルマが5部門のタイトルを受賞するのはもちろん初めて、前代未聞の快挙といえる。10年前に入手したときのひどい状態から、ここまでのレストア過程は、WEBサイト( http://jdm-car-parts.com/blogs/news )で見ることができる。必見だ。

写真は、「Zコンベンション」で、Zスポーツワゴンのお披露目を行った際に撮影したもの。左が松尾さんで右がオーナー。




新品を使用した3連メーター右端の時計はアメリカ仕様には設定がなかったストップウオッチ機能付きのもの。新車以上のクオリティーのフロントのアンダーキャリッジなど【写真30枚】




すべての排ガス対策部品を装着し、燃料系とブレーキラインはすべてステンレスラインで引き直し、ブレーキは1973年式用の大型ブースターを装着。





キャブは前期仕様にジェットを加工。一見純正と変わりのない、Zセラピー社のシャフト部分にローラーべアリングが内蔵されたタイプだ。



1972年式 日産 ダットサン 240Z
SPECIFICATIONS 諸元
全長 162.8in
全幅 64.1in
ホイールベース 90.7in
エンジン型式 L24型
エンジン種類 直列6気筒SOHC
総排気量 2393cc
ボア×ストローク 83.0mm×73.7mm
圧縮比 9.0:1
最高出力 151bhp/5600rpm(SAE)
最大トルク 146lb-ft/4400rpm(SAE)
キャブレター SU×2
変速機 フルシンクロメッシュ式前進4段・後退1段
最終減速比 3.36
サスペンション前/後 マクファーソンストラット式独立懸架/セミトレーリングアーム式独立懸架
ステアリング形式 ラックアンドピニオン式ロック・トゥ・ロック2.7回転
ブレーキ前/後 10.7inディスク/9in×1.6inドラム
ホイール前後とも 5J×14スチール
タイヤ前後とも 175HR14


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 04月 Vol.168 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 ダットサン 240Z(全3記事)

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text : NOSTALGIC HERO/編集部  photo : AKIO HIRANO/平野 陽

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