ノックダウン(現地生産)という選択が果たした役割|1964年式 いすゞ ヒルマン ミンクス スーパーデラックス Vol.1|セダンの神髄

1953年11月12日から販売が開始されたヒルマンミンクス。1961年10月以降のモデルからグリルが2分割デザインに変更になっている。

       
【1964年式 いすゞ ヒルマン ミンクス スーパーデラックス Vol.1】

いすゞと英国ルーツによる優雅な高級車

 排ガス対策が一段落した20世紀の末、世界有数の生産量を誇った日本は、自動車先進国の仲間入りを果たしている。発展途上国にクルマ造りや生産技術を伝授するまでに成長を遂げ、自動車王国と呼ばれるようになった。が、その50年ほど前は、欧米から大きく後れを取っていたのである。

 第二次世界大戦の痛手が自動車の発展を妨げていたことは否めない。が、技術レベルも低かった。そこでいすゞ自動車を始めとするいくつかの自動車メーカーは、そのブランクを埋めるためにヨーロッパの自動車メーカーと技術提携を結んでいる。いすゞが提携先に選んだのは、イギリスのルーツ・モーターズ社だ。1953年2月、ヒルマンミンクスに関する技術援助契約書にサインし、ノックダウン(現地生産)の準備に取りかかった。


前方から後方へと伸びるサイドモールディングもスタイリッシュなレイモンド・ローウィーが手がけたエクステリアデザイン。レバー1回転半で開閉できるクイックオープンのレギュレーターを採用していた運転席のドアガラスなど【写真6枚】



Vol.2、Vol.3に続く

1964年式 いすゞ ヒルマン ミンクス スーパーデラックス(PH50型)
SPECIFICATIONS 主要諸元
全長 4140mm
全幅 1543mm
全高 1510mm
ホイールベース 2438mm
トレッド前/後 1245/1232mm
最低地上高 195mm
室内長 1780mm
室内幅 1290mm
室内高 1240mm
車両重量 1065kg
乗車定員 6名
最高速度 128km/h
登坂能力sinθ 0.346
最小回転半径 5.22m
エンジン型式 GH150型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1494cc
ボア×ストローク 79.0×76.2mm
圧縮比 8.5:1
最高出力 70ps/5000rpm
最大トルク 11.2kg-m/2200rpm
変速比 1速 3.19/2速 2.47/3速 1.49/4速 1.00/後退 4.04
最終減速比 4.778
燃料タンク容量 33L
ステアリング形式 ウオームローラー式
サスペンション前/後 ウイッシュボーン・コイル/リジッド・リーフ
ブレーキ前後とも ドラム
タイヤ前後とも 5.60-15-4P
発売当時価格 84万円



初出:ノスタルジックヒーロー 2014年8月号 Vol.164(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1964年式 いすゞ ヒルマン ミンクス スーパーデラックス (全3記事)

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text : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明 photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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