【2】から続く4WDターボの魅力を世間に知らしめたのはドイツのアウディ。続いてイタリアのランチア、そして日本のマツダが続々と4WDターボを採用した。
【時代を席巻したフルタイム4WD+ターボたち vol.3】
日産も87年9月にブルーバードをモデルチェンジし、同時にフルタイム4WDのアテーサを設定する。イメージリーダーは、ラリーベース車のSSS-Rだ。心臓部は、過給圧をアップし、ステンレス製マニホールドなどを採用したCA18DET-R型DOHCターボだった。90年にはモデルチェンジしたパルサーに、この4WDシステムを押し込んだGTI-Rを投入。91年からWRCにも挑んでいる。エンジンはSR20DET型だ。
日産とともに古くからラリーに挑んでいた三菱も、満を持してフルタイム4WDを投入。87年秋、ギャランにVR-4を、ランサーにはGSRを設定。VR-4は2Lの4G63型DOHCターボに、センターデフ+ビスカスカップリング式フルタイム4WD、4輪操舵システムを組み合わせ、速い走りを見せつけている。WRCでも大暴れし、有形無形のノウハウは後継のランサー・エボリューションに引き継がれた。
レオーネで乗用4WDに先鞭をつけたスバルも、最終型のレオーネとアルシオーネからフルタイム4WDターボとなっている。ここで経験を積み、89年に水平対向4気筒DOHCターボとフルタイム4WDをレガシィで開花させた。4WDターボのスポーツワゴンをメジャーに押し上げたのもスバルの功績だ。90年代には弟分のインプレッサが、WRCで快進撃を見せた。
80年代から90年代まで、ターボテクノロジーと4WDで世界をリードし続けたのがニッポンの自動車界だ。
【画像13枚】国産のフルタイム4WD+ターボたち。三菱、スバルなど。MITSUBISHI ECLIPSE GSR-4 D27AE39Aギャランのコンポーネンツを流用し、クーペボディを架装したのがエクリプス。89年に米国でデビューし、翌年は、ギャランVR-4と同じ4G63型ターボとフルタイム4WDを採用し、パワフルな走りを実現。提携関係にあったクライスラーから兄弟車も発売された。
SUBARU LEGACY GT/RS BC5/BF5レオーネの後継モデルとして1989年1月にデビューしたレガシィ。最上級グレードには水平対向4気筒ターボのEJ20型を搭載し、フルタイム4WDをドッキング。セダンのほかにツーリングワゴンをラインナップし、「レガシィ=ワゴン」というイメージを作り上げた。
【1】【2】から続く時代を席巻したフルタイム4WD+ターボたち(全3記事)初出:ハチマルヒーロー 2017年5月号 Vol.41
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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