今日もどこかで行われている「ロケ地をめぐる聖地巡礼」。作品に対するファンの愛情表現としてすっかり定着している。「頭文字D」における聖地といえば、秋名山(榛名山)。いまや押しも押されぬ人気スポットになったその場所に、劇中さながらのAE86トレノが出没、拓海に迫る走りを見せているという。
【 群馬県・榛名山が育むリアル「頭文字D」の世界 Vol.3】
【2】から続く そしてもうひとりの若者が、前述のオーナーさんのご子息。18歳でありながらそのトレノ愛はすさまじく、マシン作りのコンセプトからパーツセレクトまで含め、まるごと1台をプロデュースして仕上げてしまった。
お父様のトレノ(1号機)が「頭文字D」ファーストステージ仕様を忠実にレプリカする傾向なのに対し、ご子息のトレノ(2号機)は、一見セカンドステージ「プロジェクトD」仕様をトレースしているように見えて、若者ならではの柔軟な発想のカスタムも盛り込まれている。
エンジンはAE111用20バルブをベースにファインチューン。点火系はダイレクトイグニッションにS2000用プラズマダイレクトを組み合わせて強化。4A-G型チューンの新たなトライだ。そのヘッドカバーは、いま旬のマツダのイメージカラーである「ソウルレッド」でペイントされる。
根底には「榛名をいかに攻略するか」を忘れてはいない。16バルブと比べ重量増となったぶん、前後バネレートを上げるなどして実戦対応。
「1号機で分かったのですが、同じバネレートでもメーカーによって感じる硬さが違う。トライを重ねて、クラフト製のスプリングを選びました」(ご子息)。リアル拓海くんとは親友であり情報交換を重ねているだけあって、彼のセンシング&セッティング能力もただものではない。また同様の理由により、過度な補強は避け、ボディのしなりを生かしたセットにしてあるという。
平成ふたケタ年代に生まれた世代をもとりこにする、AE86が放つ魅力。そしてこうした若者が存在するかぎり、AE86界の未来は安泰というほかない。
>> 【画像17枚】実在したトヨタオート店のものを復刻したデカールなど。細かなディテールに神は宿る>> 1号機、2号機がおさまるガレージ。トレノを末永く愛するために新築されたもので、パンダカラーが映える色調で構成されているこだわり。
初出:ハチマルヒーロー 2016年 7月号 vol.36
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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