【お宝級の昭和バニング!】2代目ハイエースがベースの特級サバイバー!

       
日本の箱車カスタムのルーツ、それは言うまでもなくバニング!!  で、バニングといえば100系ハイエースやE24キャラバンによる過激カスタム全盛期の’90年代のJ’sバニングを連想するだろうが、もともとはアメリカ発祥の改造車文化として日本に伝来したものでその姿はまったく異なる。ここで紹介するのは、US的バニングから、日本独自のスタイルへと移行していく過渡期に生まれた元祖和風バニングだ!!



 ’80年代初頭の本誌カスタムCARから飛び出してきたような(当時の本誌に載ってるカモ!?)ザ・タイムマシーンなこの1台は、新車時の’81年頃に関西のショップで製作されたとおぼしきカスタムサバイバー。ベースは通称・新幹線ハイエースこと歴代2代目のスーパーロングDXで、時代錯誤なオーラがムンムン。ピンクのストライプペイントや丸目の前期顔にあしらわれたハート型エンブレムなど、当時まんまのキッチュでファンシーな趣を完全維持。メッキバイザーやエアダムスポイラーにみる往年パーツは、日本のバニングが本場アメリカの見よう見マネからジャパンオリジナルの道を歩み出したことを物語るお宝モンだ。



 そして日の丸カスタムカーの走る文化遺産ともいえる極めつけの証左が、総ピンクのチンチラ張りやギラギラシャンデリアの豪華絢爛カスタムリビング。まさに昭和的世界観を疑似体験できるキャビンは、異世界に繋がる魔法陣♪ 

 
 ベッドに早変わりするソファや天井埋め込みの最高峰カーオーディオは、いわば200系に例えるトコのスパロンベースのラグジュアリーメイク。移動式ラウンジとキャンパーを兼ねた実用的な完成度などは、現代のハイエースカスタムの基本形ともいえるカスタムなのでありマス。

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 そんな80 ’sバニングの生きた化石を発掘し、現状保存のまま走る標本!? として寵愛を注ぐのが、ハイエース考古学者ばりのオーナー・福島「フルハート」代表の酒井サン。父親から受け継いだ家業のクルマ屋は、実は元バニングショップで「ハイエースクラシックス」のクラブリーダーも務めるお方。昭和バニング保存会結成を水面下で目論む真性マニアバンナーであるゆえ、当時を知らぬ世代ながらも、後世に残るべき個体と、コイツに惚れ込んだのはなるほど納得デス!!



『カスタムCAR』2016年11月号掲載
BASE CAR:ハイエースバン・スーパーロング 1981年型(LH40V)
SOURCE:カーチェンジ・フルハート


【おまけネタ】
日本の80’sバニング事情をフラッシュバック!!
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もともとバニングは’60年代後半のアメリカが発祥。中古アメバンをホットロッド風の外観やゴージャス内装でオシャレにカスタムするのが西海岸の若者の間で流行ったのが、その起源だ。そんなUSAのナウな改造車を国産1BOXで真似たのが日本のバニング。本誌創刊当時’70年代後半は、USサーファーバンを意識したスタイルが主流だったが、のちにバニング専門ショップが全国で数多くオープンし、日本製のカスタムパーツも豊富に出回った。

【アメリカ発祥のサーフバニングとは?】

一方、バニング人気が廃れた本場USA事情から、日本では’80年代に入ると、RVキャンパーの要素を高めた、後のジャパニーズ・バニングの原型が次第に形成された。下の写真は『カスタムCAR ’81年3月号』に掲載された40系スーパーロングのバニング。洋風バニングが廃れたあとの、和風バニングの黎明期の逸品だ。

PHOTO/藤井元輔 TEXT/コンヒデキ

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