奈良県の気鋭アートカンパニーの大型冷凍車は、さり気なくもセンスあふれるコーディネートにより、同業者や目の肥えたファンから一目置かれている青果&食品輸送便だ。
60cmの厚さを誇る舟型バンパーと2段サイドバンパーという鏡面パーツ2点を除いては、ウロコステンレスを中心としたアートアップを展開。キャブ周りでは、寝台パネル、フロントフェンダー、コーナーパネルをウロコステンレスで統一するほか、運転席のドアに装着した丸アンドンにも、抜きで表現した「魚がし」のウロコステンレスを組み合わせている。
また、印象的なコーポレートカラー(スバル・ヴィヴィオの純正色)とのコントラストも美しく、スタイリッシュな雰囲気を好アピール。エバハウスとの干渉を避けるべく後方を切り落としたハイルーフも独創的ながら、その頭頂部に搭載したドルフィン用の速度表示灯&ビッグホーンで見応えを十二分に引き上げている。
一方、1m10cmのアオリ高を実現した造りボディにも多彩な見どころを用意。なかでも、エアブラシトモヒロの手腕を借りて、アオリ前方に描いた「梅」のくずし文字や、リア観音扉に描いた波絵は、素朴さのなかにオリジナリティを光らせた秀作だ。
そのほか、ウロコステンレスを巻いた燃料タンクや、アオリ後方を彩る「梅本通商」の切り文字、太い丸パイプで存在感を示すリアバンパー、「梅商」の抜き文字を組み合わせた箱下のウインカーボックスなど、ディテールにも魅力が目白押し。実は、箱の内部もオール鏡面で仕上げられているのだ。アートセンスと完成度の高さで、他車に差を付けるクールな1台だ。
【写真6点】印象的なコーポレートカラー(スバル・ヴィヴィオの純正色)とのコントラストも美しい。カミオン2009年7月号トップアートをもとに再構成