’70年代に活躍した和歌山の鮮魚便を目指したオーナーは、地元のトラックファンでなければ知らないこだわりを詰め込んで、懐かしさと情熱があふれる1台に仕上げた。
なかでも最も特徴的といえるのがシートキャリア。当時の鏡面ステンレスを再現するため、番手は輝きを抑えた400番を採用。トップにはアーチとマーカー、サイドにはワンオフのロケットマーカーを装着。原色を使ったアンドンも当時を彷彿させる。さらに丸バイザー、メッキ仕様の丸パイプミラーステーとこだわりのパーツで飾り上げている。
そして、フロントマスクはKL用グリルとバスライトで、すっかり面持ちを変えた。当時モノのウロコステンレスのバスバンパーも装備され、キャブパートは懐かしさ全開だ。 サイドに回るとメッキのサイドバンパーが、美しい輝きを放つ。上部には今や貴重なアワ棒が装着され、やはり懐かしい雰囲気を醸し出す。そして荷台サイドにセットされた3本のパイプや荷台下部のカバー、途中で折れ曲がったハシゴなど、当時の和歌山スタイルを再現したアートが満載。ディテールまで実によく気を配ったアートが展開されている。
こうしたアートに花を添えるペイントも注目ポイント。当時から描き続けているヒロハタ工芸が筆を執った、味わい深い作品だ。まだまだ発展途上だという山原さん。こだわりのアートの今後に要注目だ。
【写真5点】’70年代和歌山魚屋デコトラ。カミオン2011年10月号トップアートをもとに再構成