スカイラインシリーズでもっとも売れた4代目日産スカイライン。その5年間の軌跡を追う|ケンメリクロニクル|C110の伝説・歴史

1972年9月から1977年8月。その5年間の軌跡を追う

       
【1972年〜1977年 4代目スカイライン5年間の軌跡】

大型化・高級化、「ケンとメリー」の一大ブーム、歴代最高の販売台数、ワークスのレース撤退、排ガス規制、最後のS20型エンジン搭載GT-R。何かと4代目C110スカイラインにまつわるエピソードは多い。そこで、その歴史を簡単にまとめてみた。短くも長い5年間をいま一度振り返ってみたい。

>>【画像15枚】「ハコスカ」の愛称で親しまれた3代目C10スカイラインの後継モデルとして誕生した4代目「ケンメリ」

1972年9月 4代目スカイライン発売

「ハコスカ」の愛称で親しまれた3代目C10スカイラインの後継モデルとして誕生した4代目。「ケンとメリーのスカイライン」のキャッチコピーとともにセールスされたことから「ケンメリ」の愛称をいただく。全長、全幅ともに大型化され、同時に豪華さを加えた装備は、高級志向に傾いていた市場のニーズに応えたものだった。先代でアイデンティティーの1つとなったサーフィンラインは踏襲され、丸形4灯テールという、以降に引き継がれる新たなるモチーフもここで生まれた。
 車種設定はL20型を積む「2000GTシリーズ」に2000GTと豪華仕様のGT-X、G18型搭載の「1800シリーズ」にスポーティデラックスとスポーティGL、G15型のボアアップ版として生まれ変わったG16型搭載の「1600シリーズ」にスタンダード、スポーティデラックス、スポーティGLを用意。また、1800のワゴンとしてスポーティGL、バンの1800デラックス、1600スタンダード/デラックスも存在した。
 発売当初のボディカラーは、ホワイトとシルバーメタリック、ディープグリーンメタリックがセダン/ハードトップ共通で、セダンにはブルーメタリック、ハードトップにはブライトブルーメタリックが専用で用意された。




1973年1月 待望の2000GT-R追加


 前年の東京モーターショーに「2000GT-Rレーシング仕様」が出品され、発売が待ち望まれていた「2000GT-R」が、4カ月遅れで市販化。S20型エンジンはC10スカイラインと同等の160ps/18.0
kg-mを発揮し、レースでの活躍も期待されたが、ボディの大型化による戦闘力の低下、そして何よりも排ガス規制を克服できずに、わずか4カ月の生産、総生産台数200台弱という短命に終わった。
 しかし、前後オーバーフェンダー、トランクのスポイラー、メッシュグリル、黒塗りのフェンダーミラーなど、通常の2000GTとの差別化が著しく、そのスパルタンな外観は、今なお「2000GT-R仕様」を作るオーナーが多いことからも人気であることが明らかだ。



1975年5月 4気筒エンジンがG型からL型へ


 外観の目立った変更点はないものの、タコメーター内にハイビーム警告灯、スピードメーター内に半ドアとシートベルト警告灯が装備されたり、ヒーターコントロールパネルにRECIRC(室内循環機構)のスイッチが装備されるなど、安全性や快適性を向上させる。
 1800/1600シリーズにおいては、プリンス時代からの名機G型がラインナップから姿を消し、代わりに日産が開発した1770㏄のL18型、1595㏄のL16型がシリーズの心臓を任された。




1975年10月 マイナーチェンジ実施


 センターに配されたエンブレムとそこから左右に伸びるフィンで構成されるフロントマスクや、左右のテールレンズをつなぐかのごとく広がるテールパネルのエンブレム(2000GTシリーズ)、グリル内部がメッシュからドットへ、そしてそれぞれのヘッドライトを囲むデザインのフロントマスク、テールレンズを囲む華やかなモールが追加されたテール(1800/1600シリーズ)と、外観上の変化が一番大きかったのが、この時期だ。
 だが、最大のトピックは、排ガス対策における最大の目玉NAPS(日産排出ガス清浄化システム)を採用したエンジンだろう。これは日産が5年の歳月と500億円のコストを投じて完成させた清浄化のトータルシステムの名称で、トランクにNAPSのエンブレムが誇らしげに飾られた。このシステムの一環としてキャブレターは電子制御燃料噴射装置(EGI)に変更され、L20型エンジンは発売当初のハイオク仕様と同じ130ps/17.0kg-mを達成。グレード名にはGT-E、GTX-Eと、「-E」が付けられることに。



1976年2〜6月 排ガス規制によりC111に


 基本グレードの2000GTだけはキャブレター付きで継続販売されていたが、昭和51年排出ガス規制の壁を前に、全車EGI付きのL20型エンジンへと移行。併せて型式もC111へと変更を受ける。新たなグレードはGT-E、GTX-E、GTX-E(Sタイプ)となった。



1977年8月 5代目「ジャパン」へバトンタッチ


 「日本の風土が生んだ名車」とのキャッチコピーから、「ジャパン」の愛称を持つ5代目C210へと移行。6気筒2000ccエンジン搭載車に与えられるGTシリーズの名称はそのままに、4気筒1800/1600ccエンジン搭載車の名称がTI(ツーリングインターナショナル)へと変わった。ボディサイドのサーフィンラインや「疾風4つ目」の異名を持つ丸形4灯テールの意匠も受け継がれた。




■C110スカイライン搭載エンジン性能一覧






初出:ノスタルジックヒーロー 2017年10月号 vol.183
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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text:AKIO SATO/佐藤昭夫

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