ショートノーズのケンメリ・セダン【1】12分割のテールランプが個性的。基本車としてデザインされた4気筒セダン|1973年式 日産 スカイライン 1600 スポーティ GL

1600 スポーティ GL。純正スチールホイールに、ブリヂストン・スニーカー、165/80R14を装着する。純正ホイールキャップも良好なコンディションだった

       
【1973年式 日産 スカイライン 1600 スポーティ GL Vol.1】

 S50系以降のスカイラインの場合、4気筒エンジンを搭載するモデルのことを「ショートノーズ」と呼ぶ場合が多いが、これは正しくない。C10系、C110系、C210系までこの通称が使われ、4気筒モデルと6気筒モデルでボディが同じになったR30系以降は使われなくなった。今号の40ページから始まるC110スカイラインのエクステリア担当デザイナー、松井孝晏さんのインタビューの中でも触れられているが、スカイラインの場合、4気筒モデルで外観のデザインを作り込んでいった。いわゆる「基本車」は4気筒モデルであり、6気筒モデルはその派生車という位置づけなのだ。

 このページの取材車両であるスカイライン1600スポーティGLのサイドフォルムを改めて眺めてみると、セダンとしてホイールベースに対するボディ外形のバランスが実によく、考え抜かれた配分となっていることが分かる。さらにスカイラインのアイデンティティであるリアのサーフィンラインも、プレスラインとえぐられた面の構成が巧みで、絶妙な頃合いで個性を主張しているのだ。

 ケンメリ・スカイラインはセダン、ハードトップともに6気筒モデルに人気が集中し、現存している個体も多い。その一方で4気筒モデルは過去に部品取り車として消費され、オリジナル度の高い状態の残存車が少ない。今回の貴重な個体のオーナー、杉本龍馬さんは27歳の若さであり、「ケンメリのサーフィンラインの美しさにほれて、購入しました」とその理由を話してくれた。


>>【画像23枚】スポーティGLでは、トリコットクロスを配したバケットタイプシートを前席に装着するインテリアなど。シートベルトは、自動巻き込み式のオートリトラクターを採用




6気筒モデルとは明らかに表情が異なる4気筒モデルのフロントデザイン。




C110スカイラインの基本車としてデザインされた4気筒モデルのセダン。3ボックススタイルのフロントフード、キャビン、トランクリッドのバランスが絶妙で、美しいかたちだ。




デザインスケッチがそのまま実車に採用されたような、12分割のテールランプが個性的だ。


1973年式 日産 スカイライン 1600 スポーティ GL(C110)

SPCIFICATION 諸元
全長 4250mm
全幅 1625mm
全高 1405mm
ホイールベース 2515mm
トレッド前/後 1350 / 1340mm
最低地上高 165mm
室内長 1790mm
室内幅 1355mm
室内高 1135mm
車両重量 995kg
乗車定員 5名
最高速度 160km / h
登坂能力 tanθ0.48
最小回転半径 5.0m
エンジン型式 G16型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
総排気量 1593cc
ボア×ストローク 85×70.2mm
圧縮比 8.5:1
最高出力 100ps / 6000rpm
最大トルク 13.8kg-m / 4000rpm
燃料供給装置 ツーバレルキャブレター
燃料タンク容量 55L
変速機 前進4段 / 後退 1段
変速比 1速 3.657 / 2速 2.177 / 3速 1.419 / 4速 1.000 / 後退 3.638
最終減速比 4.111
ステアリング型式 リサーキュレーティングボール式
サスペンション前/後 ストラット式独立懸架 / リーフスプリング
ブレーキ前/後 ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 6.15-14-4PR
発売当時価格 74.7万円


【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年10月号 vol.183
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1973年式 日産 スカイライン 1600 スポーティ GL(全2記事)

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photo : HIROTAKA MINAI/南井浩孝

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