2020年シーズンのJCCAヒストリックカーレースは、春の富士戦がコロナ禍の影響でキャンセルなった。感染拡大防止に最大限の注意を払いつつ開催された7月の大会は、これといった事故もなく無事に成立した。
そんな状況もあってこの秋の大会でも、改めて大会関係者の努力に感謝しなければならないだろう。もちろん参加者も不必要な行為を控え、この危機を乗り越えていこうという意識が会場全体から伝わる状況だった。
【画像26枚】中止の危機を乗り越えて開催されたJCCAヒストリックカーレースそんな中、この大会から新たなカテゴリーが設けられた。「ヒストリックマスターズ」と名付けられたレースで、基本的にはSクラスの車両を対象に、使うタイヤをダンロップ製バイアスレーシングのCR65に限定してクラスを成立させようという試みだ。この規定は、他の主催者でも見られるもので、JCCAの意図も車両の時代背景に合った環境のレースも必要ではないか、という判断が働いたという。
気になるのはエントラントたちの反応だが、バイアスレーシングタイヤが持つ特性や性能が、自車のサスペンションにマッチするという理由から賛同する方が多かった。このSレースとは別に、新たなエントラント層が形成されそうな勢いを見せている。出走車は1960年代の外国車が多く、Sタイヤやラジアルレーシングタイヤが持つ高いグリップ力やタイヤ剛性より、バイアスレーシングタイヤが持つ穏やかな特性が車両の特徴を引き出せると考えているようだ。
ちなみに、今回のSレースの決勝進出車は13台。初回の試みとしては十分成功したと判断できる台数だった。
それとは別にピット裏をまわっている際、思わぬエントラントに出会った。久保田克昭さんである。久保田さんと言えば、2014年にヒストリックF1の最高峰イベントの「モナコ・グランプリ・ヒストリック」でロータス72Eを駆って優勝を果たしたり、日産R91(90)CKを購入してグループCレーシングで大活躍した、ヒストリックレーシングの世界ではこの人ありと知られる人物。その久保田さんがB110サニーを仕立ててFレースに参戦。楽しそうにレースに臨む様子が見て取れた。
今回FレースにヒストリックF1やグループCレーシングで活躍中の久保田克昭さんが参加。B110サニーを駆って上位入賞と、さすがの戦績を残していた。