【BNR32改 HKS ZERO R vol.1】
アルピナやブラバス、ルーフやゲンバラなど、以前から欧州ではチューニングメーカーによるコンプリートカー販売が盛んだった。
一方、日本では「チューニング=違法」という先入観があり、なかなか浸透することはなかった。
しかし80年代後半には、トミーカイラがR31スカイラインベースのM20/M30を発売しEEKがレフトハンダーのスープラ、マツダ車のチューニングで知られたユアーズスポーツではFC3Sベースのボーグアチーブをリリース。少しずつ社会に認められるようになり、知名度も高まっていった。
そんな中、日本で最大手のアフターパーツメーカーであるHKSが1991年に1台のコンプリートカーを発表した。
それがZERO Rだ。
ZERO Rのベースは見てのとおりR32GT-Rで「270㎞/hオーバーでの巡航性能、快適性、保安基準適合」を目指し、「高出力、高耐久性」をテーマに開発。
欧州の名だたるコンプリートカーを超えるべく、アウトバーンやニュルブルクリンクでのテストを重ね、究極のロードゴーイングカーとして誕生した。
【画像19枚】ターゲットは欧州のスポーツカー HKSが送り出したスーパーマシン。圧巻の360㎞/hフルスケールのスピードメーターと、10000rpmまで記されたタコメーターはHKSオリジナル。ミッションはR34GT-Rのゲトラグ製6速MTに換装。これに合わせて、ファイナルギアは3.9へと変更されている【2】に続くグローブボックスを閉めてしまえば、ノーマル然としているインパネ。ステアリングはMOMO・JETで、キーシリンダー脇には油温計が配置される。
グローブボックスにはHKSのエレクトロニックコンソールを用いて、各メーターやスイッチ、コントローラーなどを設置。ダッシュボード上に見えるのは、EVCとA/Fノックアンプ。
フロントシートはストリートでの使い勝手を考慮し、左右ともにレカロのSR-6を装着する。
本来リアシートがある場所には150ℓの安全燃料タンクが収められ、パネルで覆われる。なお、ロールケージはクスコの6点式をチョイスしている。
すべての画像を見る【2】に続く
HKS ZERO R(BNR32改) *基本仕様
2014年式
カラー シルキーマルーン
全長×全幅×全高(㎜) 4550×1770×1320
ホイールベース(㎜) 2615
トレッド(㎜) 1505(前後とも)
車両重量(㎏) 1600
エンジン型式 RB26DETT型
エンジン種類 直列6気筒DOHCツインターボ
総排気量(cc) 2688
ボア×ストローク(㎜) 88.0×73.7
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps) 423
最大トルク(㎏-m) 39.7
変速比 1速3.214/2速1.925/3速1.302/
4速1.000/5速0.752/後退3.369
最終減速比 4.111
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション マルチリンク(前後とも)
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 255/40R17(前後とも)
発売当時価格 1600万円
>>HKSテクニカルファクトリー
関東で唯一となるHKSのアンテナショップ。RB26DETT型のノウハウは膨大で、チューニングはもちろん、各種メンテや一般整備も行っている。
【すべての画像を見る】初出:ハチマルヒーロー vol.045 2018年1月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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