レースで活躍したロータリーエンジン【4】進化したロータリーエンジンを熟成させ、ついにル・マン総合優勝

【3】から続く

2ローターから3ローターとしたロータリーエンジンでル・マン総合優勝へ 

1985年は2ローターエンジン最後の年となり、737C2台で臨んだが、いずれもマイナートラブルに見舞われ、完走したもののトップから90ラップ遅れの総合19位/総合24位でC2クラス3位/6位の結果だった。

【画像13枚】ル・マン24時間に参戦したロータリーエンジン搭載の歴代マシンたち

1986年はC2クラスから総合順位を争うC1クラスに準じたIMSA‐GTPクラスに移行。エンジンを2ローターの13B型から3ローターの13G型に変更。シャシーをナイジェル・ストラウド、ボディデザインを三村建治が担当した757に発展。ただ、600psを超すC1クラスには対抗できず、結果もトラブルで2台とも早々に戦列を去っていた。

前年、信頼性不足だった757を徹底的に見直した1987年はスピードも向上し、総合7位/クラス優勝を獲得する快挙を成し遂げた。そしてこの結果が日本国内で大きな反響を呼んだことから、マツダ本社としてル・マンに臨む体制が徹底的に強化された。

1988年に4ローターの13J型エンジンを開発。シャシーも新設計の767に進化していく。
翌1989年が改良型の767B、そして1990年にフルカーボンモノコックの787に切り替えられる。

そしてついにターボ規定最後の年となった1991年、IMSA‐GTP規定で臨んだマツダ787Bが登場。
ライバルの脱落も手伝って、日本車初の総合優勝を勝ち取る流れとなっていた。

「継続は力なり」を身をもって伝えるロータリーの優勝劇だった。

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>>1986年、C2クラスからIMSA-GTPクラスに移行して3ローターの757に変更。基本的には戦闘力の高い車両だったが、熟成不足がたたってリタイアを喫していた。


>>未成熟な状態で惨敗した前年を反省し、熟成化を図って臨んだ1987年のル・マンで総合7位、クラス優勝を獲得。この好成績がきっかけとなりマツダ本社が本格的に取り組み始めた。


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>>1991年グループCカー規定がNA3.5ℓに変更され、ロータリーエンジンで参戦できる最後のレースとなったル・マンで787Bが優勝。4ローターの13J型(26B型)エンジンの甲高い音が印象的だった。


>> マツダ787Bをドライブして総合優勝を勝ち取ったフォルカー・ヴァイドラー選手とベルトラン・ガショー選手。チェッカーを受けたフィニッシュドライバーのジョニー・ハーバート選手は脱水のためポディウムに立てなかった。が、優勝20周年を記念してのアニバーサリーランで登壇が実現した。


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レースで活躍したロータリーエンジン(全4記事)
初出:ノスタルジックヒーロー 2020年4月号 Vol.198

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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text:Akihiko Ouchi/大内明彦  photo:Akihiko Ouchi/大内明彦、Mazda/マツダ

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