これって軽自動車!? 60〜70年代のプロトタイプやグループ7マシンを模したクルマたちが疾走|K4-GP 2022サマー【後編】

往年のプロトタイプや2座席レーシングカーを思わせるデザインのRクラス車両たち。

       
8月16日に富士スピードウェイで開催された。K4-GPの10時間耐久レース。
前編のGP-1〜GP-3クラスに続き、GP-4&5クラスをリポートしていこう。

GP-4&5のレギュレーションは、サーキット専用のレース車両であるRクラスの車両。市販車をベースにしていても、外観は大きく異なっている。
これらRクラス車両の外観は、K4-GPの創設者である杉山哲さんの制定により「デザインを模すなら70年代初頭のグループ4/5/6/7車両まで」という規定があった。K4-GPのRクラス車両がノスタルジックな雰囲気を醸し出しているのはこのためだ。
クローズドボディはフロントガラスの調達が問題となるため、オープン2シーター構造が圧倒的に多いことも特徴だ。

【画像24枚】本格的レーシングマシンの外観で疾走するGP-4&GP-5車両とカプチーノ・アルトワークスなど注目の90年代車両

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>>給油はBパドックにあるガソリンスタンドが使われる。クラスごとに決められた1回あたりの給油量が車体に貼られ、スタンドではそのチェックをしながら給油作業を行う。スタンドのスタッフも手慣れたもので要領よく給油作業をこなしていく。



>>競技時間が10時間と長丁場になるため、各チームともドライバーは5〜6名構成で臨むところが多い。1人1回あたり1時間30分前後の乗車体制を組むチームも多く、仲間同士で家族を連れ、夏の1日を「真剣に遊ぶ」スタイルでK4-GPは楽しまれているようだ。

GP-4

レース専用に作られたRクラス車両のうち自然吸気エンジンの車両がGP-4クラス。使用可能な燃料量はGP-2クラスと同じ80リットルだ。
市販車の車体を大幅に改造し、車体強度を生産車のモノコックボディではなく補強材、構造材が受け持つ構造と見なされるモデルもRクラスのGP-4かGP-5に区分される。
パイプフレームによる完全オリジナルのシャシーも可能だが、実際にはザウルスジュニアやフォーミュラKeiなど市販レーシングカーのシャシーに自作のカウルを被せている例が多い。

量産車に対して軽車重、低重心で運動性能に優れるためK4-GPではGP-5と並んで本命のクラスとなる。参戦12台。優勝車は222周で総合でも3位に該当した。

>>GP-4クラスで優勝し、総合でも3位となる222周を記録したTEAM-T弐号機。660ccエンジンのフォーミュラカーFK4をベースにしたマシン。

GP-5

過給器付きのレース専用車両クラス。使用可能な燃料量はGP-3クラスと同じ85リットル。
性能面で最も優れるため、他のクラスを上回る成績が期待できる。
今回の総合優勝(ただし総合順位による表彰はない)は224ラップを走ったこのGP-5クラスのポルシェ917PA。クラス2位はヴィヴィオのボディ上半分を切り飛ばした車両で223ラップを周回。やはり総合2位に該当する戦績だ。

>>GP-5クラスで優勝した総合でもトップの224周をマークしたSARAH-R。VIVACEのシャシーにスズキ製エンジンを搭載し、ポルシェ917PAを模したカウルを装着したマシン。




注目の90年代車両

前編に続き、1990年代にリリースされたいわゆる旧企画の高性能軽カーのK4-GP仕様車を紹介。
バブル期と重なるだけに、特にスポーツ系のモデルは、いま見てもぜいたくな企画の車両ばかりでファンとして垂ぜんだ。


>>スズキ アルトワークス GP-1
かつて「スーパーKカー」として一大ブームを巻き起こしたクルマがアルトワークスだ。
ターボ+4WDはWRCで活躍したグループBカーやグループAカーと同じメカニズム。
全日本ラリー選手権でも軽クラスを席巻したが、サーキット走行とくにK4-GPでは、重量が軽く駆動損失の少ないFF方式が有利なようだ。GP-3クラスのライバルはスバル・ヴィヴィオ。スバル勢が本格的に車両を開発して臨んでいるだけに、最近は苦戦を強いられている。写真はAT仕様のGP-1-T車。GP-1車では珍しいアルトワークスなので紹介。




>>スズキ カプチーノ GP-3
こちらは2019年の参戦車両だが、ユニークなモディファイバージョンのため、こんな軽も登場する例として紹介しよう。
バブル期の車両企画だけあって軽自動車とは思えないぜいたくな作りとなっている車両がカプチーノだ。
直列3気筒4バルブDOHCのK6A型/F6A型にターボチャージャーを装着したパワフルなエンジンを搭載。
オリジナルボディで参戦している車両も多いが、この個体はポルシェ935のような外観に仕上がっている。
こうした楽しみ方ができるのもK4-GPの特徴で、ほかにもコルベットC6と見間違うカプチーノが顔を見せるときもある。



【画像24枚】本格的レーシングマシンの外観で疾走するGP-4&GP-5車両とカプチーノ・アルトワークスなど注目の90年代車両

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ハチマルヒーロー 2022年 11月号 Vol.74
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

text & photo : Akihiko Ouchi/大内明彦

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