「ドク」発明のタイムマシン装置を持たないスタンダードなインテリアを覗く|1982年式 デロリアン DMC-12 Vol.2

別体のサッシュを持たない、一体式のプレスドアは、ジウジアーロがこのクルマで初めて採用した手法。のちにコンセプト「アッソ・ディ・フィオーリ」でも試行されたのち、いすゞピアッツァとして量産化される。

       
【1982年式 デロリアン DMC-12 Vol.2】【1】から続く

 英国・ロータス社に開発を依頼したデロリアン・モーター・カンパニーだったが、生産拠点の決定に手間どったことに加えて車両の開発も難航。初の生産車DMC‐12のデビューは1981年まで待つことになった。

 ようやく姿を現したDMC‐12は、ロータス式のバックボーンフレーム後端に、プジョー/ルノー/ボルボ共同開発による2.85LのV型6気筒PRVユニットを搭載。イタリアのイタルデザイン社がデザインワークを手掛けたクーペボディを組み合わせた。この低いボディは、ガルウィング式ドアとともに、無塗装のステンレス製アウターパネルを特徴としていた。
 北アイルランドのベルファスト郊外に新たに建設した巨大工場で生産されたことから、会社の国籍はアメリカながら、開発と生産は英国。そしてデザインはイタリアという、極めて国際的なメーカーとなったデロリアンだが、その後もPRVユニットのターボ化や4ドアセダン版などの新展開も次々発表。その前途は洋々に見えた。


▶▶▶【画像12枚】ロータスの得意技だったバックボーンフレームを持つため、RR車としてはセンターコンソールが広くなることで未来的な雰囲気も醸し出すインテリアなど





ゴージャスな本革バケットシートが織りなす2+2キャビンは、同時代のロータス・エスプリ、あるいはハチマル時代のイタリア製グラントゥリズモのセオリーに準拠した、実に魅力的な空間となっている。





外観は、1970年代前半に同じジウジアーロが手掛けたロータス・エスプリや、マセラティ・ボーラ/メラクとの相似性も感じさせるが、ガルウィング式ドアが格別に未来的な印象を与えてくれる。


1982年式 デロリアン DMC-12
Specification 諸元
●全長×全幅×全高(mm) 4267×1990×1140
●ホイールベース(mm) 2408
●トレッド前/後(mm) 1590/1588
●車両重量(kg) 1233
●エンジン種類 ライトアロイ90度V型6気筒SOHCチェーン駆動
●エンジン型式 PRV ZMJ-159型
●総排気量(cc) 2849
●ボア×ストローク(mm) 91×73
●圧縮比 8.8:1
●最高出力(ps/rpm) 135/5500
●最大トルク(kg-m/rpm) 22.45/2750
●変速機 5速MT
●ステアリング形式 ラック&ピニオン
●サスペンション前 不等長ダブルウィッシュボーン
●サスペンション後 トレーリングラジアスアーム アッパー&ロアリンク
●発売当時価格 2万5000ドル

【3】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2014年 08月号 vol.26(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1982年式 デロリアン DMC-12(全3記事)

関連記事: ハチマルユーロー

関連記事: デロリアン

text : HIROMI TAKEDA/武田公実 Photo : DAIJIRO KORI/郡 大二郎

RECOMMENDED

RELATED

RANKING