【1】から続く【サーキットの狼世代へ 1972年式 BMW 3.0CSL vol.2】
外観は第2シリーズで前後に大型スポイラーを装備し、ボンネット上に垂直フィンを持つデザインで仕上げられたが、ドイツの法規でリアスポイラーが禁止となり、第3シリーズではトランクリッドエンドに小型のスポイラーを装備するにとどめられている。
市販状態でのエンジン性能は、インジェクション装備の3003cc仕様で200ps/27.7kg‐m、3153cc仕様で206ps/29.2kg‐mを発揮していた。
ETC戦への投入は73年シーズンからだが、開幕戦のモンツァ4時間でデビューウインを果たす。ドライバーはニキ・ラウダ/ブライアン・ミュア組だった。この年の相手はフォード・カプリRS2699(2940cc)で、F1ドライバーや後年レース史上に名前を残すドライバーがずらりと揃う壮観なメンバーだった。
BMWは、ハンス・シュトゥック、クリス・エイモン、ディエター・ケスター、トニー・ヘゼマン、ビットリオ・ブランビラ、アンリ・ペスカロロらで、一方のフォードは、ジャッキー・スチュアート、エマーソン・フィッティパルディ、ヨッヘン・マス、ジョン・フィッツパトリックと、「たかが」ツーリングカーレースながら、すごい顔ぶれで争っていた。とくにシュトゥックとマスは、この後ヨーロッパF2選手権でもBMW対フォードの戦いを繰り広げることになる。
【画像19枚】史上に名前を残すドライバーがずらりと揃うフォードを相手に、ETC戦デビューウインを果たす>>エンジンはM30系直列6気筒。ビッグシックスと呼ばれる系列のエンジンで3.0CSLでは3つのタイプが使われた。初期型は2985cc(89×80mm)でストロンバーグキャブレターを2連装。72年の第2期モデルではボアが0.25mm拡大されて3003ccとなりボッシュDジェトロによって200ps、73年の第3期モデルは3153ccで206psに変化を遂げた。
>>フロントスポイラーは3.0CSLの大きな特徴。
>>ボンネット上の垂直フィン、小型のリアスポイラー、ルーフエンドスポイラーはオーナーが80年代に装着したものだ。リアスポイラーが小型のもの(大型スポイラーがドイツの法規に抵触して使えなくなった)になっている点から73年車の外観と言ってよいだろう。ルーフスポイラーはルーフ上の整流に効果を発揮する。この時代あたりから空力が真剣に検討されるようになった。
1972年式 BMW 3.0CSL全長×車幅×全高4630×1730×1370mm
ホイールベース2625mm
トレッド 前/後1446mm/1402mm
車輌重量1270kg
エンジン水冷直列6気筒SOHC フロントエンジン
総排気量3003cc
最高出力200ps/5500rpm
最大トルク27.7kg-m/4300rpm
生産年1971〜1975年
生産台数1265台
生産国ドイツ
※スペックは池沢早人師ミュージアムに準じる。
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