2015年9月の鬼怒川氾らんによる水害に被災した前・後期型、2台のトヨタ2000GTとS30フェアレディ240Z。これらの再生を行ってきたビンテージカーヨシノでは、すでに後期型トヨタ2000GTは仕上げて納車済み。そして次にフェアレディ240Zの再生が完了した。今回はその最終段階の作業内容と仕上がり具合を報告する。
【ニッポン名車物語 復活編 第十一話 Vol.1 S30 日産 フェアレディ 240ZG】
ビンテージカーヨシノによる水没車の再生プロジェクトは、順調に進行中だ。すでに後期型2000GTは完了してオーナーに納車されている。そしてこのたび、240Zの作業が完了した。この個体は一旦はすべてバラされて、丁寧に劣化状態を確認したうえで作業が進められてきた。ビンテージカーヨシノの規定に基づき、長く快適に乗り続けることができる状態に仕上げられている。なお、水没によるダメージは思ったほどではなく、作業自体は通常のレストアとほぼ同じ内容となった。
もちろん、水とオイルやフルードが混ざって金属の腐食につながることから、機関部は入念にチェックしたうえで、そのまま使える部分は洗浄したのち調整。そして消耗パーツは交換している。布製品関系はにおいの問題などもあり、ワンオフ製作あるいは徹底した洗浄を施して再生させた。ボディの腐食は板金塗装して完全に再生させている。注目は現時点でも純正部品の供給があるものもあり、パーツ交換している部分はほぼ純正を使っている。それらは、ベアリングやブッシュ類が主なところだが、ブレーキなどはアッシー交換が可能だったという。トヨタ2000GTとは事情は異なっており、日産車の利点といえる。
>> 【画像16枚】経年劣化がかなり進んでいたことと、水が浸入していたことでグリスと混ざってガビガビな状態となっていた前後のハブなど。洗浄してグリスアップしてからハブベアリングを新品に交換している>> リアブレーキは水没によるダメージがあった部分で、ブレーキフルードと水が混ざった状態でサビがかなり進行していた。リアブレーキのハウジングはアルミ製のため、酸化して劣化した状態だった。
>> ブレーキハウジングにウエットブラストをかけてきれいな状態とした。またホイールシリンダーとブレーキホースはすべて新品に交換している。そして金属製のブレーキパイプはカシメの部分に劣化が見られていたことから、その部分はワンオフ製作している。なお、写真はないが、フロントブレーキは純正オーバーホールキットを使ってほぼ新品のパーツで組み直している。
>> キャブはソレックス3連に換装。スロットルシャフトのガタつきや2次エアの吸い込みなどを防止するために、外部からボーリングして軸受け部分にブッシュを装着するカスタマイズを施す。
【2】に続く初出:ノスタルジックヒーロー 2018年2月号 Vol.185
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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