【大好きすぎるが故に?】BTTFの脇役のクルマを忠実に再現!映画ファンであれば見入ってしまう完成度。

Base Car:1988年型 USトヨタ・ピックアップEXキャブ4×4

       
アメリカナイズドな町並みにたたずむ、黒いトヨタの4駆のピックアップトラック。映画バック・トゥ・ザ・フューチャー(以下BTTF)を観たことのない人にはライトカスタムでキレイに仕上げたUSモデルのブリハイに過ぎないが、BTTFの三部作を観たヒトなら

「あ、マーティのアレだ!!」と、老若男女を問わず誰もがビックリするハズ。



 BTTFを観た人の中には、日本未発売だったエクストラキャブの北米仕様スポーツトラックのカッコよさに、ない物ねだりのカルチャーショックを覚えたクルマ好きや、劇中の1980年代のカリフォルニアの空気感に憧れた人が多くいることだろう……。主人公マーティの“夢のトラック”を務めるチョイ役の劇中車USブリハイSR5.4×4トラックの隠れファンならば、まるで映画のワンシーンのようなこの光景に鳥肌モンの衝撃と感動を受けるハズだ。

 で、この1台は映画で使われた本物ではなく、ムービーカーと同じ50系ハイラックスのUS逆輸入車で“マーティのドリームトラック”を忠実再現したクローン仕様なのだ♪ 



 アメリカではデロリアンのタイムマシン仕様と同様にマニア作のレプリカも存在し、劇中の「未来」と同じ日の2015年10月21日にはハイラックスの後継の現行タコマで再現した“ BTTFトリビュートエディション”が米国トヨタから限定販売されたほど。日本では頭文字Dの豆腐屋トレノのようなソックリさん仕様は思いのほか不在だった。が、1985年のヒルバレーから時空を超えてやってきたかのような新車ばりのスーパーレプリカを岩手のトラッキンショップ「AKC」のビルダーが怒涛のマニアックカスタムで自ら作り上げてしまったのだ!!

実際のムービーカーは、社外のアクセサリーをポン付けした程度の新車ドレスアップ仕様だったのが実のトコ。とはいえ、上映から30年以上が過ぎた現在では、当時モノのパーツをアメリカから入手するのは不可能なうえ、そもそも見た目で分かるパーツはKCロゴの黄色いフォグカバーぐらいのもん。ソレ以外は詳細不明だけに、同じベースでマネしたくても日本で再現するにはハードルが高すぎる……。

 だからこそ「ないなら作っちゃえ!!」と、BTTFパート1とパート3の登場シーンを手がかりにディテールを徹底検証し、ルックスをつかさどるグリルガードとロールバー、チューブステップバンパーの3点はメタルワークでワンオフ製作。ドアミラーやフォグ、ホイールも同一デザイン品を集め抜いて劇中車と同じ見た目にリファインし、ベースのブリハイも純正ブラックでの全塗装を筆頭に1985年当時の新車ルックに復元済みだ。さらにパート3の走りの名場面を再現すべく、オートマだったのを5速MTに載せ替えているほど。1と3で異なる個所を発見し、マニア唖然の小技まで徹底しただけに、本気の作りはもちろん、変態級の探求心にも超リスペクトだ。





 実はAKCビルダー兼オーナーは、本誌ではスラムドトラッキンやローライダートラックの超絶系ビルダーで知られた存在。超絶系のベクトルが劇中車レプリカのクローンカスタムに注がれたのは「理屈抜きでカッコいいから」の一言がすべての理由だ。

 BTTFが上映されたのは、彼が幼い頃ではあるが、それは“マーティのドリームトラック”に憧れるファンが世代を超えて存在することの証。デロリアンのタイムマシンと双璧を為す、脇役のヒーローとして不変の魅力を放つ1台だ。

【画像14枚】BTTFのパート1とパート3の変更点も再現!マニア悶絶の衝撃作をご覧あれ!


>>BTTF気分を高める小道具もつい衝動買い!パート2に登場する自動でつく紐が締まる未来のスニーカー”ナイキ・マグ”と、未来の子供のオモチャ”ホバーボード”。いずれも正規レプリカ品ではないのはご愛嬌(笑)


初出:カスタムCAR 2020年2月号 Vol.496

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

Base Car:1988年型 USトヨタ・ピックアップEXキャブ4×4
協力:AKC

PHOTO / サイトウタカシ(COLORS) TEXT / コンヒデキ

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