【計算され尽くした足回り&足元の美学を見よっ!!】超絶ワイドなデロリアン!

Base Car:1981年型 DMC-12(デロリアン)

       
「先にハッキリ言っておきますけど、映画は特に大好きってワケじゃないですし、最近のワイドボディブームに寄せていったワケでもないですから(笑)」



 オーナーの衝撃先制パンチからスタートした取材。えぇーっ、だって正式名称DMC‐12、通称デロリアンって言ったら、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー(以下BTTF)』の中で、主人公のマーティが過去だの未来だのに旅するタイムマシンとしてあまりにも有名じゃないスか?! デロリアン所有者の約85%(本誌調べ)が「映画を見てホレた」、「映画でデロリアンを知った」と回答するほど、BTTFとの関係はズブズブのハズ。

 ところがオーナーは、そんな圧倒的多数派の意見には飲み込まれず、「修学旅行で行った東京タワーの駐車場で駐まっていた実車を初めて見て、いつか欲しいと思った」と話す、マジで純粋にクルマ自体からのめり込んだデロリアン・ファーストのお方だったのデス。

 夢が叶い、ホンモノを買ったのが3年前。そしてホイールを換えたいと思ったものの、4H・100のF:14/R:15インチという軽自動車並みのサイズのせいで、ロクなホイールが選べない……。「だったら、作るか! で、インチアップもするか!」みたいにハナシがどんどん膨らんじゃって、気がつけばホイールが入んないってことで、フェンダーはザクザク切られ、片側70mm以上の特大グラマラスボディを持つことに。しかもコレ、表面がヘアライン入りステンレスとなるデロリアンの“味”を生かそうと、1枚モノの1.5mm厚アルミをあっちこっちに曲げて作った職人芸の逸品。同時にフロント/サイド/リア/トランクのスポイラーもアルミワンオフとなれば、もうマーティも故・デロリアン本人も、「こっちのほうがヤベ〜んじゃねっ!」って、ハモること間違いナシっ‼



 オーナーのアイデアを具体化していったのは、数々のカスタムカーを製作してきた、愛知「リスキービジネス」だ。

「ぶっちゃけ、タイヤ&ホイールを換えるだけなら、ウチに頼まなくてもいいヨって(笑)。ウチが手がけるなら、だれも見たことのないデロリアンを完成させたかった」の言葉に冗談成分は一切含まれておらず、コレまでのキャリアから各分野のエキスパートに各パートを依頼。

 5H・100のF:18×10.0/R:19×15.0なる途方もないサイズで、しかもオーナーの「ランボルギーニ・ミウラの純正ホイールをオマージュして!」というワガママ放題に応えるべく、福岡「KRZインターナショナル」にワンオフオーダーを発注。バディとなるタイヤは、オバフェンと干渉を避けるために、F:225/35R18、R:325/30R19とし、超引っ張ってショルダーを寝かせるイマドキのパッツパツフォルムを採用している。



 ホイール越しにチラ見えするブレーキも、KRZのアルミキャリパーを削ってデロリアンのロゴを入れ、オレンジのパウダーコートをかけるなど、手間ヒマを惜しまない。さらに、サスもKRZにワンオフを依頼。フロントはダブルウイッシュボーンのアームの中にエアバッグを入れ、その横にショートサイズのアブソーバーを組み込む。ストラットとなるリアには、車高調の上にエアバッグが載るタイプのモノを使い、コレで公称車高より10cm以上も低いシャコタンポジションが可能になった。

 見逃されがちな内装にも職人の手がしっかり入り、高級感をアップさせるべくルーフやインパネをブラウンのアルカンターラで張り直し、シートはスパルコのバケットを往年のフェラーリのごときパターンでフィニッシュさせる執念まで披露。 「デロリアン=BTTF」の固定観念は、今、ココに完全にぶっ壊れたと断言ッス!

【画像17枚】リアフェンダーのぶった切りが、世界的カスタムカー誕生につながった。全貌はこちら!


>>純正のグレーのシートでは色気がなさすぎ(笑)。そして、デロリアンのプロトタイプのシートがブラウン系の色だったことから、ブラウンのアルカンターラとブラックレザーをスパルコのバケットに張ることに。フェラーリのシートデザインを意識したラインの入れ方も好印象だ。なお、座面のアンコを抜いて、ビミョーに高さ調節もしているらしい。



>>デロリアンといえば、ガルウイングドアも見せ場!乗り降りのたびにこの高貴なインテリアを見せつけることもできる。


初出:カスタムCAR 2020年2月号 Vol.496

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

Base Car:1981年型 DMC-1(デロリアン)
協力:ラダーインターナショナル&リスキービジネス
Special Thanks:KRZインターナショナル

PHOTO / 南井浩孝 TEXT / 佐藤アオキ(rsf)

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