トップパートは、厚みを抑えたバイザーとコの字形状のミラーステーという組み合わせ。ミラーステーは完全なコの字ではなく、約5度の角度が付けられている。微妙な部分だが、当時の流行を強く意識してあえてこだわった部分でもある。
バンパーはメッキ仕様のキャデラックタイプだ。厚みも張り出しもたっぷり取られた迫力十分の仕上がりで、メッキならではの輝きとともに、フロントマスクで強烈な存在感を放っている。 もっとも力を入れたのがフロントマスクで、本モノのドルフィングリルを装備することにより、ベース車の面影を完全に払拭している。その面持ちはまさにドルフィンそのものだ。さらに当時モノの日野ウイングマークで’80年代のテイストをプラス。オーナーが愛してやまない’80年代のドルフィンベースのアート仕様がみごとに再現されている。
また、鏡面仕上げの波板で覆われた巨大なベッセルは、このクルマの大きなアートポイントだ。ただでさえ目立ち度抜群のデカ箱に光り輝く鏡面ステンレスを張り込み、美しさと華やかさをアピールしている。
さらにケツブタにはバラ柄のエッチングステンレスを採用、華やかさの演出に余念がない。高いアートセンスと情熱を駆使して飾り上げられたこのクルマは、いぶし銀の魅力を放つ秀作車といえる。
【写真7点】アートトラックの知識と自身のセンスを融合した計算高い造作。カミオン2008年5月号トップアートをもとに再構成