OS技研の倉庫から発見された、現行TC16-C1の元祖モデル「TC16-MA2」のパーツ。幻の4気筒DOHCユニットの動態保存計画がスタートした!
【トミタクガレージ再生プロジェクト#01 Vol.2】
【画像19枚】カムシャフトは当時モノの鋳造カム。鋳造カムは金属組織がスポンジ状で、自己潤滑性があり、焼き付きにくい【1】から続くOS技研の富松拓也チーフエンジニアによると、現存が確認されている元祖TC16‐MAは、初代のMA1が1基、今回発見された2基のMA2のみ。
今回、愛車(B110サニーGXエクセレント)への搭載を希望したTC16フリークのオーナーも、この機を逃せば二度と手に入れられない元祖TC16を前に、迷うことなく購入を希望。
眠っていたTC16‐MA2の1基は、80年に鈴鹿で開催された「第2回オールスターダートトライアル」で総合優勝した時のエンジンだと思われる。
若かりし頃の「モンスター田嶋」こと田嶋伸博選手が、日産バイオレット(PA10)に搭載して参戦したのだ。
春から夏へ季節が変わる頃、眠っていたTC16‐MA2の再生作業が始まった。
まずは、主役のシリンダーヘッドをはじめ、エンジンを構成するパーツの状態を確認し、欠品を調べる。なお、「パーツにかんしては、可能な限り当時モノや当時仕様の部品を使う」ことが、本プロジェクトのコンセプト。
50年近く前に設計されたエンジンながら、排気量1918㏄で圧縮は10・2。最高出力は205ps、最大トルクは20㎏‐m、許容回転数は9000rpm。
これが当時のTC16‐MA2のスペックで、現代のチューニングエンジンを凌ぐパワーとレスポンスを誇った。
【3】へ続く>>カムシャフト。TC16-MA2用のカム山は、鋳造時に冷やしガネを当てて強制冷却し、硬度が高められている。作用角はインテーク/エキゾーストとも300度、リフト量は10.5mmだ。
>>ウオータージャケットの中に見える針金は、ヘッドを鋳造する際の中子の支え。現行のTC16にはなく、希少な元祖ヘッドであるあかし。
>>バルブは新品を使う。インテークバルブの径はφ34.5mm、エキゾーストバルブはφ30.5mm。ステム径はインテーク/エキゾーストともにφ6.6mmだ。バルブリテーナーとコッターは、当時と同じホンダN360用を使う。高回転型エンジンに対応した、高精度かつ高耐久なパーツで、富松さんが自分の元祖TC24-B1のメンテナンス用にストックしていたものだ。
【3】へ続く初出:ノスタルジックスピード vol.023 2020年1月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
トミタクガレージ再生プロジェクト#01(全3記事)