【1】から続く20世紀を代表するクルマと称されたシトロエンDS19。あらゆる観点で革命的であり、カリスマ性があった。そして、シトロエンDS19が与えた影響は、ある大手自動車メーカーにまで及ぼした。
【輸入車版懐古的勇士 1975年式 シトロエン DS23 vol.2】
DSのカリスマ性は当時の一般モータリストのみならず、同時代の名だたるエンジニアたちにも多大なるショックを与えた。例えば1950年代から英国ロールス・ロイス社の技術責任者を務めていたハリー・グリルズは、のちにシルバーシャドウとなる新型車を、当初DSの影響を受けた前輪駆動車にする構想を持っていたという。そして生産型シャドウでも、サスペンションやブレーキには、シトロエンから特許を買ったハイドロニューマチック機構が採用されていた。
またローバーの名設計者スペン・キングもDSに強烈な感銘を受けた一人である。彼は、ローバー本社工場の所在地であるソリハルに因んで「ソリハル・シトロエン」なる愛称が奉られたローバーP6シリーズを世に送り出すほどに、DSを敬愛していたのだ。
そして1999年には、全世界の自動車評論家・雑誌編集者などの投票によって選考された「カー・オブ・ザ・センチュリーにおいて、1位のフォード・モデルT、2位のミニに次いで「20世紀に作られた偉大な自動車の第3位」という評価を得たのである。
【画像14枚】名設計者にまで感銘を与えた革命的なサスペンションやステアリング機構。ステアリングの作動に合わせて転回。この作動もハイドロで制御される左右内側のヘッドライト>>ハイドロニューマチック機構の要であるアキュムレーターとオイルタンク。ここからサスペンションやブレーキ、トランスミッションなどを制御するシステムに、油圧が送り込まれる。
>>歴代DSのエンジンは、すべて直列4気筒OHV。最終進化形のDS23には115psを発生する2347ccユニットが搭載された。この個体はキャブ仕様だが、130psの燃料噴射仕様も選択可能だった。
1975 Citroën DS 23全長×全幅×全高(mm)
4874×1803×1470 ホイールベース(mm)
3125 トレッド前/後(mm) 1516/1316
車両重量(kg) 1330
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量(cc) 2347
最高出力(ps/rpm) 115/5500
最大トルク(kg-m/rpm) 18.7/3500
ボア&ストローク(mm) 93.5×85.5
圧縮比 8.75:1
サスペンション ハイドロニューマチック
【3】へ続く初出:ノスタルジックヒーロー 2019年10月号 Vol.195
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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