世界的にも極めてレアな、フロント1輪式の3輪乗用車。その代表格がリライアント。
税制などの関係で3輪車が高い人気を得た英国では、今なおカルト的な評価を得ている。
そしてリライアント3輪車のハチマル時代を代表するのが、このリアルトである。
【1987年式 リライアント リアルト Vol.2】
【1】から続く こうしてリーガルからロビンへと受け継がれてきたメカニズムは、ハチマル時代にあとを継いだ後継モデル、今回の主役である「リアルト」にも継承されることになるのだ。
1982年にデビューしたリアルトは、同時代の英国製4輪大衆車「オースティン・メトロ」を思わせるノーズや、ややスクウェアなスタイルとなったテール以外は、ロビンとほぼ同一のFRP製ボディを持つ。もちろんシャシーも、ロビンと共用。エンジンもロビンに中途採用された850ccユニットを採用する。つまり、ロビンのビッグマイナーチェンジ版であった。
しかしリライアント・リアルトの凄さは、その生命力にある。リアルト自体の生産も1998年まで続くロングセラーとなる一方で、1989年にはリアルトにリアをハッチバック化した派出モデルを、再び「ロビン」名で追加。さらに1999年にはロビンに一本化されるものの、三度目のフェイスリフトを受けて21世紀的なデザインのノーズに進化。結局2002年まで生産されることになったのである。
実はリライアント社では、リーガル時代には「レベル」、ロビン時代にも「キトゥン」という4輪モデルも併売されてはいたものの、いずれもベースたる3輪モデルに比べると遥かに短命に終わってしまう。その傍ら、老舗の鰻屋が先祖伝来のタレを継ぎ足しするかのごとく、リーガル以来の技術を継承してきたリアルトとその係累は、21世紀まで生き残ることになった。
自動車界の「生きる化石」と言えば、同じ英国でもモーガンを思い浮かべる向きが多いだろうが、このリライアント・リアルトもまた、立派な(?)「生きる化石」と呼びたいのである。
大衆車ということで、樹脂パネルで構成される簡素なダッシュボードを採用。フットスペースは意外なほどに広く、ドライビングポジションは自然なもの。またカチカチと決まる心地よいシフトフィールは、英国製の古いスポーツカーを思わせる。
>>【画像12枚】タイヤ/ホイールは12インチ径。リライアント自製だが、起源は戦前までさかのぼるとの説もある総軽合金製4気筒エンジンなど前後シートもビニールレザー張りの簡素なものだが、座り心地は悪くない。
リアの「ブート(トランクの英国式表記)」は、サイズを思えばかなりの容積。
後席を倒せば、そのスペースはさらに広まる。
1987年式 リライアント リアルト(Reliant Rialto)SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 3378×1448×1397
ホイールベース(mm) 2159
トレッド(mm) 1245(後)
最低地上高(mm) 127
車両重量(kg) 436
エンジン種類 直列2気筒OHV
総排気量(cc) 848
最高出力(ps / rpm) 39.5 / 5500
最大トルク(kg-m / rpm) 6.3 / 3500
圧縮比 9.5:1
変速 機 4速 MT
ステアリング形式 ウォーム&ペグ
ホイールサイズ 3 1 / 2 × 10インチ
タイヤサイズ 5.20 × 10インチ
【3】に続く初出:ハチマルヒーロー 2015年 11月号 vol.32
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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