あこがれを、あこがれのままで終わらせない。そう決めたオーナーは当時の走りを彷彿させる2T-G型改2L仕様のクーペを手にした。過去を、過去のままで終わらせない。仲間の走りを見てサーキット走行に踏み出したオーナーは、レーシングジャケットとワークスフェンダーまで手に入れた。取材当時の2018年、30年以上も前のセリカが公道に、そしてサーキットに復活した!
【1972年式 トヨタ セリカ 1600GT Vol.1】
レースシーンで輝いたセリカといえば? この質問に対する答えは、そのままセリカの歴史をひも解いていく。ラリーフィールドにまで範囲を広げるならば、2代目以降のモデルが世界レベルの存在感で主役の座に躍り出るが、サーキットに焦点を絞るならば、おのずと初代モデルがクローズアップされる。サーキットで目覚ましい活躍を見せた初代TA20系は、その活躍期間は非常に短かったものの、1970年代前半、確実に後世へ語り継がれる「トヨタの走り」を見せつけたのだ。
初代のデビューは1970年12月のこと。「未来の国からやってきたセリカ」のキャッチフレーズで、エンジン、ミッション、内装などを自由に組み合わせられるフルチョイスシステムを採用してデビュー。これはフォード・マスタングにならって採用されれたものだったが、当時としてはかなり画期的であった。
>>【画像24枚】13インチならそのままいけるが、14インチだとフェンダーカットが必要になる。ハセガワオートボディにて装着された、セリカ用ワークスタイプのオーバーフェンダーなどヘッドライトを覆うレーシングジャケットは当時の製品。鋳物のステーが付いており、ボンネットを開くと、連動して前方にチルトする機能を持つ。当時の実際のレースでは、ヘッドライトを取り外し、レーシングジャケットは塗装して装着されていたようだ。
セリカのレーシングモデルは純正のフェンダーミラーを使っていたが、オーナーは足の短いナポレオン・バッカミラーに交換。このほうがレーシーな雰囲気。
リアには当時物のトランクスポイラーを装着。後続車に見える側を黒く塗るのは、当時からのお約束だ。
1972年式 トヨタ セリカ 1600GT(TA22)SPECIFICATION 諸元
■ エクステリア:マーシャル製ヘッドライト(PIAA・LED化)、当時物レーシングジャケット/チンスポイラー/リアスポイラー、FRP製リプロセリカワークスフェンダー、GTストライプレプリカ、ナポレオン・バッカミラー、リアラメ入りガラス
■ エンジン:2T-G型エンジン改2L仕様、亀有製2T-G 2L用鍛造ピストン/3T型用フルカウンタークランク、カム(IN272/EX288度)
■ 吸排気系:OER製φ45mmレーシングキャブレター×2、ワンオフエキゾーストマニホールド/ステンレスデュアルマフラー(φ50mm)
■ 点火系:永井電子機器製ウルトラCDI/シリコンプラグコード、強化セルモーター
■ 冷却系:ラジエーターコア3層張り替え、9段オイルクーラー
■ 燃料系:電磁ポンプ交換
■ 駆動系:強化クラッチ、AE86用マスターバック/ディスクブレーキ用ホーシング、TRD製LSD
■ 補強系:(F)クスコ製ストラットタワーバー
■ サスペンション:(F)AE86用ストラット、4段式ショックアブソーバー、クスコ製ピロアッパーマウント (R)AE86用強化スタビライザー/ラテラルロッド/ピロロワアーム、8段式ショックアブソーバー、ワイズスポーツ製強化コイルスプリング
■ ブレーキ:AE86用ブレーキマスター移植/前後ディスクブレーキ移植
■ インテリア:ナルディ製レザーステアリング、ピンクパンサー・シフトノブ、オートルック製レーシングシート、ウィランズ製レーシングハーネス、大森メーター製水温/油温/油圧/バキューム計、グローブボックス下3連メーター(燃料計、大森メーター製水温計/電圧計)
■ タイヤ:トーヨー プロクセスT1R (F&R)225/40R14
■ ホイール:タケチプロジェクト レーシングハート(F)14×10J (R)14×11J
【2】に続く初出:ノスタルジックスピード 2018年5月号 vol.016
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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