クルマの世界でOEM(相手先ブランド)モデルというのは、現在、日本国内で発売されている新車でもかなり多く存在している。時をさかのぼって1970年代のアメリカでは、ビッグスリーの一角、クライスラーでも、三菱自動車と提携して小型乗用車のOEMモデルを用意、ダッジ・ブランドで販売していた。そんな1台がここで紹介するダッジ・コルトワゴンだ。オーナーとそのフィアンセの生活の足として使われる赤いワゴンを紹介する。
【1973年式 ダッジ コルト 1600 ステーションワゴン Vol.6】
【5】から続く ブリーズさんの働くカリフォルニア州オークランド市にあるメタルワークのショップは、狭い路地に面して小さな看板が掲げられただけの地味な外見。ここで仕事の合間を見ながら、ワゴンの修理を徐々に進めている。
「この仕事も好きですよ。古いクルマは手で作られていた。手で作られたものは、手で直してあげないといけないと思うんです」
クルマに愛情を持たなくちゃ、と言うブリーズさんが生まれ育ったのはリッチモンド市。日本から輸出されたクルマが陸揚げされる大きな港がある。その町で祖父の住んでいた小さな家を譲り受けたのも最近のこと。今は新居となるこの家の片付けにも大忙しだ。
免許を取ってからわずか7年。クルマを運転したことでその楽しみを知り、それからはのめり込むようにクルマを学んできたブリーズさん。人生の伴侶を得た次は自分のショップでも持ちたいと語る25歳のメカニックは、これから訪れる未知なる未来の中へと、自分の夢を追い続けている。
>>【画像14枚】「エステート」としてその豪華さを誇りにしたこのクルマの主張が伝わってくるドアの内張りに入れられた装飾部分など三菱製の1973年式ダッジ・コルト1600ステーションワゴン。ボンネット前端に「DODGE」のバッジがつくのがダッジ車の特徴的なデザイン。両側のフロントフェンダー脇にコルトのバッジがついていたのみ、ほかのバッジ類はこの個体にはついていなかった。金属製ルーフキャリアはオリジナルのものだと思われる。リアフェンダー上部の窓枠の部分がグッと盛り上がる「コークボトルライン」は、当時のアメ車の流行から影響を受けたデザインだ。
初出:ノスタルジックヒーロー 2016年 6月号 Vol.175(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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