特撮! マツダ 787B【3】広島・多家神社の交通安全のお守り!? 世界を制したマツダのロータリー。787Bのチャージカラーは人々の記憶に永遠に

これぞレーシングカーといったコックピット。ステアリングはマツダスピードのバックスキンで、左側にはドリンク用のホルダー。シフトレバーの奥には、広島・多家神社の交通安全のお守りが見える

       
【孤高のロータリーエンジン マツダ 787B vol.3】

目の前にあるのは、正真正銘の55号車。787Bはエンジンレスやレプリカも含めると全部で5台製作されたといわれているが、この個体は実際にル・マンで優勝した55号車、つまり「ホンモノ」なのである。今回は幸運にもマツダの協力により、そのホンモノを撮影することができた。

さて、実際にチャージカラーに彩られた787Bを目の当たりにすると、非常に大きく感じる。全長は約4.8m、全幅は1.9mオーバーと、最近の乗用車と比べてもさほど大きいわけではない。しかし、約1mという圧倒的に低い全高によりワイド&ローが強調され、とにかく迫力満点なのだ。ちなみに、ベースとなった787とよく似ているが、ヘッドライトや広い全幅、18インチのタイヤ&ホイール、リアウイングなどで見分けることができる。

世界を制したロータリーエンジンが4ローターのR26B型。787では混合気燃焼を改善して出力と燃費を向上させる3プラグイグニッション、ペリフェラルポート、セラミック製アペックスシールなどを採用。そして787Bではそれらに加え、吸気菅をボールベアリングとプーリーを使って伸縮させるリニア可変吸気システムを装備し、エンジンの制御をよりきめ細かくすることで、700psというパワーを実現したのである。また、787Bではカーボンブレーキを装着するなど、他チームよりも進んだ技術が投入されていた。

92年でグループCカテゴリーは消滅してしまったが、今もなおその人気は絶大。なかでも日本車メーカーで唯一ル・マンを制したチャージカラーの787Bは特別な存在で、これからも私たちの記憶に残るだろう。

【画像23枚】チャージカラーに彩られた787Bは、最近の乗用車と比べて特に大きいわけではないが、近くで見ると迫力満点のワイド&ローボディーだ


>>リニア可変吸気システムを採用し、最高出力700psをマークする4ローター・R26B型。これで、7.4LV12のジャガーや5LV8ターボのメルセデスと戦ったのだ。


>>リアのサスペンションはインボードコイルスプリング式のダブルウイッシュボーン。下側にある白いポリタンクは、オイルのキャッチタンクとなっている。


>>キャビン後部中央にあるのは、ラジエーターのリザーバータンク。その両サイドにある給油口のパイプから燃料がタンクへ貯められる。

マツダ 787B

全長×全幅×全高 4782×1994×1003mm
ホイールベース 2662mm
トレッド前/後 1534/1504mm
車両重量 830kg
エンジン型式 R26B型
エンジン種類 4ローター・ロータリー
総排気量 654×4cc
最高出力 700/9000ps/rpm
最大トルク 62.0/6500kg-m/rpm
サスペンション ダブルウイッシュボーン(前後とも)
ブレーキ ベンチレーテッドカーボンディスク(前後とも)
タイヤ 前300/640R18、後355/710R18


【1】【2】から続く

初出:ハチマルヒーロー 2016年11月号 Vol.38
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

マツダ 787B(全3記事)

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text:Rino Creative/リノクリエイティブ photo:Motosuke Fujii(Salute)/藤井元輔(サルーテ) cooperation MAZDA/マツダ

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