チェイサー、マークII、パサートなどにも乗ったが最後まで残ったのは67年式パブリカだった。 ワンオーナー パブリカ 800  3

現在も営業車両として活躍しているパブリカ。店舗の隣にレストランを作るときにテーラーは縮小された。現在は息子さんが隣のレストランを切り盛りしている。

67年式 パブリカ800デラックス

チェイサー、マークII、パサートなどにも乗ってきた石山さん。しかし最後まで残ったのは、67年式パブリカだった。



「パブリカを残しつつ、新しいクルマを買いましたが、どれもダメでした。結局、パブリカが一番丈夫だったみたいです。オドメーターも3回転して、かなり走っているんですが、それでも、現役で走り続けてますから、すごいですよね」



 
 オドメーターが3回転ということは30万kmを超えている。それでも、石山さんのパブリカは快調だ。
 イグニッションを捻ると、ぐずることもなくエンジンが軽快に回り始める。
 現行車両と一緒に街中を走行しても、力強い加速をみせている。「オイルの管理だけ」で、ここまで快調にクルマは走り続けるのだろうか?

 いろいろと振り返ってみると、そういう石山さんの仕事場は常にキレイに整理整頓され、整然としていることに気付かされる。

 その雰囲気がパブリカにも見られる。「身の回りをきれいすることが好きなんで」というように、常にキレイな室内やエンジンルームを心がけている。
 これこそ、長年、クルマに乗り続けるコツでもあるのかもしれない。

 「クルマは毎日ちょこちょこと拭いてやっています。ワックスは毎回掛けられませんけど、拭くぐらいならできますから」
 
 毎日、クルマを気に掛ける心構えには驚かされる。
 だからこそクルマの調子が少し悪いとか、ちょっとした日々の変化に気付きやすいのも事実だろう。
 クルマがいくら好きだからといっても、毎日、このようなことを続けることは難しいこと。
 ましてや、何十年という長きにわたって続けてきたことには感心せざるを得ない。

 そんな石山さんに愛情をそそがれた、パブリカはさぞ幸せなことだろう。
 長年変わることのないいつものガレージに停められ、ご主人である石山さんを待つパブリカ。
 そのフロントマスクが笑っているように見えるのは気のせいだろうか。


使用するミシンはブラザーの業務用足踏みタイプ。パブリカより歴史のあるモノだという。よくメンテナンスされているようで、心地よい機械音がかすかに聞こえ、静かに生地を縫い上げていく。



創業当初のお客さんから、最近では若い人もテーラーでスーツをオーダーしているという。店内には作業途中のスーツが多く展示されている




メーカー名などが記された布地の芯もキレイに並べてしまわれている。




最近は旧車のイベントにも参加している石山さん。オーナーズクラブへも入り、パブリカの情報交換をしているという。





仕事を支えてきた仕事道具。アイロンはかなり年季の入ったタイプだ。すべてが石山さんの手に馴染んでいる様子。クルマと同じように、どの道具もよく手入れされている。



右は以前の店舗の写真。手前に写っているのは布問屋の営業車両。左は若い頃の北山さんとパブリカ。助手席に座っているのが息子さんで、運転席に座っているのが、奥さんがやっていた喫茶店のバーテンダー。





掲載:ノスタルジックヒーロー2008年08月号 vol.128(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

photo:Tatsuo Sakurai/桜井健雄

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