<長崎>思い出の地 長崎の旅 前編 |スバル360で素敵探検 大貴 誠のレディーバードの旅 第1回

諏訪神社は、夜になると鳥居の紅い灯りがきれいで、祭りじゃない時も素敵です。

「スバル360に乗って日本中の素敵を見つけにいこう!」大貴誠が真っ赤なレディーバード(テントウ虫)に乗って旅する。どんな細い道でも進んで行けば、今まで見えなかった素敵が見つかる。そんな旅の第1回は、思い出の地・長崎。しかし旅の初回から「こんなに楽しくていいのかな。まっ、いいか!」。


 長崎は大貴誠が運転免許を取った思い出の地だ。今を去ること十数年前、長崎の小高い山に建つホテルのシアターで、大貴誠は「歌劇団の下級生」として長期公演に出演中だった。忙しくて寝る間もないのに、長崎の町の本屋で取り寄せたノスヒロを熟読し、ムリヤリ時間をひねり出して教習所に通った。とんでもない劣等生で「不合格間違いなし!」と太鼓判押された仮免本免を一発合格したのも、試験の前に「道路を走るスバル360を見て、絶対合格するって確信したから」だというから凄い。念願叶って大好きなスバル360に乗れるようになった大貴誠が、連載の第1回に行くのは長崎しかない! 原点の地だ!


人物 大貴誠
大貴 誠(だいき・まこと) OSK日本歌劇団・元男役トップスター。ノスヒロをむさぼり読んでい
た日本で唯一の歌劇スター。2010年夏、念願のスバル360を入手。このクルマと一緒に日本中を旅
する。2019年の現在も継続中。



教習所 スバル360
スバル360 外観

大貴誠が運転を一から教えてもらった『あたご自動車学校』。担当の女性教官に「あなたの面倒ばっ
かり見てられないのよ!」と怒られてたそうですが、忙しい公演の合間、山の上のホテルから降りて、
反対側の山の中腹にあるここにやってくると「やっと息ができる」と思うぐらい幸せで、幸せすぎて
学科の時間には夢の国に行っちゃったりもしたそうです(あの時の先生すみません!)。



 全行程運転はさすがにキツイので、横浜を出て有明埠頭からカーフェリーで北九州・新門司へ。このフェリーが夕方出航して翌日徳島に寄港して翌々朝に北九州着という30数時間の船旅で、ある意味究極の贅沢旅かも。食事は船内自販機のカップラーメン、そして2等船室で優雅に雑魚寝だ。
 早朝の新門司から長崎までは高速に乗る。九州のクルマがビュンビュン飛ばす中、80km/hの順法走行で、クルマのために途中休憩も1時間ごとに取り、「懐かしい!」と寄ってくるおじさんたちともたっぷり交流したのに、予定より半日も早く長崎についてしまった。この季節は窓から吹き込む初夏の風が気持ちいい。


大貴誠 スバル360
有明埠頭に行くまで、道を間違えたあげく渋滞にはまり、乗船しているはずの時間に「銀座の雑踏信
号待ち」なんかして青くなりかかるが、ほとんど最後に乗り込んだスバル360は、大型トラックやト
レーラーに囲まれると本当にテントウムシみたいに小さくて可愛い。


 長崎には10年ぶり以上という大貴誠、素泊まり3000円台というステキなペンションを根城に、思い出の場所を巡りまくった。長崎くんちで有名な諏訪神社、デパートという名前なのに一階に市場の入った玉屋デパート、眼鏡橋、思案橋、グラバー園に大浦天主堂。シアターのあったホテルにも行って、当時眺めたのと同じ場所から、美しい長崎の夜景も眺めてきました。そして思い出の教習所。そして路上教習した道をスバル360で法定速度でぶっ飛ばす。
 大貴誠はアバウトなので「よく行ったお店」や「思い出の場所」の記憶が激しく断片的で、かつそれが華麗にシャッフルされているので、「ここにアレがあるはず」と行ったところに何もなかったりする。どこに続くのかわからない路地をスバル360でぐるぐる走っていると、泣いたり、怒ったり、悔しがったりしていたまだ若い頃の大貴誠を、黙って見守ってくれていた長崎の町の、懐かしい匂いがよみがえる。


人物 大貴誠
歌劇団員の時は、舞台がハネると街におりて、安くて美味しいものを食べまくったとか。蒸し寿司と
茶碗蒸しのお店は慶応2年創業の『吉宗』さん。これで「よっそう」と読むのです。


人物 大貴誠
3皿といっても一つが小ぶりなのでぺろりといけちゃいます(いや、女の人では珍しいか。最高で何
皿食べたことがあるかはヒミツです)。味は十何年前に食べていたのとまったく同じ美味しさでした。
でも帰り道はニンニクの香りに注意!


長崎 夜景
歌劇団の下級生としてずっと戦い続けていた時代、泣いたり怒ったり落ち込んだりしていた。そんな
時、シアターがあったホテルにほとんど人が来ない、電気も消えた暗い廊下の窓から長崎の夜景を眺
めていた。長崎に行くと決めた時、最初に「また見たい」と思ったのがこの夜景。本当にきれいだっ
た夜景。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2011年8月号 Vol.146(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Rueka Aoki/青木るえか photo:Rumi Matsushita/松下るみ

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