おまわりさんだって、見ていて楽しい走りっぷりを披露。3台のZとの出合い【2】親子で楽しむ2台のツーフォーティー

インスキップさんがサラさんに走りのフォーメーションを指示すると、2台の240が競り合うように山道を走り抜けた。おまわりさんだって、見ていて楽しい走りっぷりを披露してくれるのだ

       
S30の型式名を持つ初代の日産フェアレディZは、北米でダットサン240Zの車名であることはよく知られている。そして日本のS13日産シルビア(180SX)は、北米向けに2.4LのKA24E(DE)型エンジンを搭載して、240SXの車名になっている。父親の愛車が240Z、娘が240SX。2台の「ツーフォーティー」に乗って仲良くカーライフを楽しんでいる親子をたずねてみた。

【ニッポン旧車の楽しみ方 第43回 親子で楽しむ2台のツーフォーティー Vol.2】

【1】から続く

 最初に手に入れたのは280Z。1年後には念願の240Zを見つけた。濃いグリーンの個体。売り主は、20年ほど屋内保管したが屋外へ移さなきゃいけなくなった、と説明した。

「当時中学生だった娘のサラを連れて見に行って、その240Zにかぶせてあったシートをめくったらなんと、背の高さもある草に囲まれていた。クルマの周りだけじゃなくて、クルマの隙間のいたるところを縫うように生えていた。車内は蜘蛛の巣だらけ。それでもサラが気に入ったって言うので、2人で雑草の中から押し出して、トレーラーに積んで持って帰ってきた」

 車体のコンディションは悪くなかったが、なにせそんな保管状態だったためにきれいにするのがあまりにも大変だった。エンジンヘッド周りも腐食して傷んでいるのが分かった。
「4年間持っていたけど結局手放すことにして、でも手放してから後悔した。すぐに次のを探し始めて、それこそ毎日のように探したよ。そして2年前にようやくこれを手に入れたんだ」

>> 【画像13枚】「これでも掃除機で掃除しただけなんだよ」。まるで新品の輝きのダッシュボードの樹脂部品など

 前オーナーが42年間も所有していたライムイエローの240Z。ただ、この個体はATだった。血眼で探し求めたはずの240Zなのに、ATでよかったのだろうか。

「実はトランスミッションを載せ替える覚悟でいました。MTのパーツはもう揃っています」
 とインスキップさんは言った。すると「ちょっと待ったぁ!」。ひとこと言いたいのがサラさんだ。
「私のもATなの。私のほうが先にパーツを揃えて待ってるんだから、SXを先にやってよ!」
 サラさんは父親にせっついている。




>> 「オートマティック? ノー、ノー。やっぱりつまんないよ。クラシックスポーツカーはスティックシフト(MT)で運転したい」。レースチームに参加した経験もあるというインスキップさんの運転は、時に刺激的だ。






>> 「これ、3台目の240SXなの。夢のクルマ? そうね、やっぱり240SXかな。もう夢がかなっちゃってるわね。フフッ」。ATのせいかおとなし目に運転するサラさんは、MTへの載せ替えが待ち遠しそうだった。



【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年6月号 vol.187
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

親子で楽しむ2台のツーフォーティー(全4記事)

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 【1】から続く

text & photo : HISASHI MASUI/増井久志

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