アメリカナイズドな味付けが似合うオールド日産車といえば、“ファイブテン”(510)の輸出名を持つ510ブルーバード。そんなベースを白人系USカスタム路線でショーカービルドする筋金入りの510ジャンキーが「ゴーストファクトリー」代表の大川氏。
板金塗装業で培った技量+510好きが高じて始めたレストア&カスタムプロジェクトとして、長年手をかけた大川氏のアートピースが、ここで紹介する真っ赤で地を這うローフォルムが冴える昭和45年製のブルバン。ちなみにカスタムCAR誌に登場したのは今回が2度目(2015年当時)で、ロッダーやトラッキンの要素を取り入れた独創モッズ旧車バンとして、初登場したのは実に17年前(2006年9月号)!! 以降もモノコック切りでエアサス着地の足回り以外は、リメイク&仕様変更を重ねエンドレスな深化のもと、この境地に辿りついたのである。
↑初掲載(2006年9月号)の時の510ブルーバード
スムージングボディからUS仕様のノーマル然とした趣に再リメイクを受けたボディは、1枚物のクオーターウインドーを備えた直線基調の端正なサイドビューが目を見張る。旧車好きならココで「510のバンって2ドアあったっけ……!?」と首を傾げるハズだ。
そう、ボディカスタム至上派の熱き情熱を表す今回リメイクの大技は“ありそうで実在しない仮想の2ドアバン化”!! しかも単に4ドアの後ろを埋めたのではなく、同型の2ドアセダンの横幅の長いドアとクーペのクオーターパネル前半分を大胆かつ緻密なメタルワークで見た目のツジツマまで合わせた渾身の作。
純正然とした完成度で4ドア→2ドア化を図った力量もさることながら、当時風のフルトリム内装で“幻の北米版2ドアスポーツワゴン”を彷彿とさせるオマージュセンスも実にお見事♪
長年イジり尽くしたゆえのストック風カスタム旧車の至極のカタチ、まさにここにアリだ。
【画像9枚】実は以前510のボディカラーはレッドではなくシルバーだった。全貌はコチラ!>>爆落ちの後脚はフロア切りのパイプフレーム化とエアサス4リンク化の恩恵。かつての足回りを維持しつつ、友人の「
田中縫製工房」の手でステッチ入りの内張りやフロアカーペット製作しワゴン純正風にフルトリム化。
>>以前スムージングしたドアノブやウインカーを純正に戻し、初回の完成度とほぼ同様のオリジナルレッドで再塗装。U.S.後期化のストック回帰を装いつつ、”幻の北米専売2ドアワゴン”を意識した超絶モッズが潜む。
初出:カスタムCAR 2015年3月号 Vol.437
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Base Car:1970年型 ダットサン・ブルーバード
協力:田中縫製工房
Special Thanks:SEEK AUTOMOBILE & REFRESH60 & HARFEE’S