キュートな丸みのあるボディとベタッと地を這うような車高のミスマッチ。オーナーがシャコタンの素材に選んだのは、イタリアの小型大衆車で、ルパン三世も愛したチンクェチェントの愛称で知られるフィアット500だ。
なんといっても気になるのは足回りだろう。ちなみにチンクファンの間では常識なんだそうだが、チンクは構造上車高を下げるのが難しく、ここまでたどり着くにはかなりの苦労をしているという。
フロントは、横置きリーフスプリングの純正サスペンションから、まずはレース用として販売されているコイルオーバーサスペンションキットにチェンジ。ところがあまり車高が下がらない。そこで、さらに短いスプリングに交換してみると、今度は車高は下がるが、キャンバー角がつきすぎてしまい、タイヤと接触してしまう。そこでアッパーアームの取り付け位置を30mm上方に移動するなどの大工事を敢行することに。
純正でセミトレ式となるリアは、市販のローダウンスプリングを装着してみたものの全然車高が下がらない。そこで、AE86用の純正スプリングをカットして装着することで理想の車高となった。
こうしてキマった足回りに合わせたホイールは、パッと見はクローム加工された合わせリムのように見えるが、実はコレ、オーナー渾身のDIY加工の賜物。10インチのミニ用スピードスター・マークⅠをベースに、ディスク中央部分をカットし、新たにPCD190×4Hという特殊なチンクのスタッドホールを空けるという大加工の末に完成した逸品だ!
こうしてストック重視の美しいボディのまま、地を這うような車高を手に入れたチンク。これほどのシャコタンながら、普通に走ることができるということも付け加えておこう。
>>【画像11枚】細部の紹介をCHECK!!【『カスタムCAR』2020年12月号掲載】
BASE CAR:フィアット・ヌォーヴァ500 1972年型