すずき工芸の箱3面ペイントを背負った鯉太郎といえば、かつて本誌主催の「第12回カミオン大賞」で銀賞を受賞したこともある人気車。今から2年前、そんな注目の1台を譲り受けたオーナーは、ニックを海斗丸へと変更。「知人の知人から話をいただいたのですが、もともと大好きなトラックだったのでうれしかったです。今でも基本的には鯉太郎時代のスタイルを守り続けています!」。
すずき工芸十八番となる「荒波」を描いた箱3面画は、左右に色違いで「鯉」を描くほか、リア観音扉には恋をテーマに男心をうたい上げた名文句を採用。年月を経ても色あせることのない魅力は、ひとえにすずき工芸の優れた筆力の賜物だろう。
また、名工・鍛冶屋が製作したメッキ素材のラッセルバンパーやミラーステーなど、キャブ周りにも見応え満点のビューポイントが目白押し。一方、譲渡後にこしらえた鳥カゴも、抜群の工作精度とスケール感で個性をアピール。箱上に搭載したバスロケットも往年の鯉太郎を彷彿とさせるビジュアル獲得にひと役買っている。今後は「バッテリーカバーなど細々したところに手を入れていきたいと思います」。名車のDNAをスポイルせず、その魅力を後世に伝えようとする心意気に脱帽だ。
【写真6点】譲り受けた名車の新たな担い手となって。カミオン2011年12月号トップアートをもとに再構成