全米のレースシーンで勝利を重ねたダットサン510|BRE Datzilla 510 Vol.1

       
1968〜72までの5年間、アメリカのツーリングカーレースシーンにおいて、参戦した各カテゴリーで勝利を重ね、クラス優勝を獲得し続けたチームがあった。ボンネット、ルーフ、トランクを赤くペイントしたマシンのサイドには、2本のストライプが斜めに入れられていた。カーナンバー46、ジョン・モートンがドライブしたマシンに代表されるチーム、それがBrock Racing Enterprises、つまりBREだ。

 510ブルーバードや240Zオーナーなどにより、今なお多くのレプリカが造られていることからもわかるとおり、BREの人気は未だに根強い。しかしその活躍は1960年代中ごろから70年代初頭に限定されていることをご存知だろうか。



 詳しくは後述するが、BREを率いるピート・ブロックの経歴を簡単に振り返ってみたい。1936年生まれの彼は、当時最年少のデザイナーとして、19歳という若さでGMのデザイナーにヘッドハンティングされている。GMでは2代目コルベットのデザインを手がけ、その後62年にキャロル・シェルビーに移ると、シェルビー・デイトナ(デイトナ・クーペ)のデザインを担当。

 そして66年に自身の会社であるBREを興し、日野コンテッサでレース活動を開始した。さらに68年からは日産とのパートナーシップを結び、SR(L)311、240Z、510で勝利を重ね、5年連続クラスチャンピオンを獲得する活躍を見せたのだ。


車両のほぼ中央になる着座位置。セミバケットシートにレーステックの5点式ハーネスを備える。


インテリアは完全ワンオフ。エンジンがフロントミッドにマウントされているため、ダッシュボードは大きく後退している。ステアリングはナルディで、ペダルはオルガンタイプではなく、吊り下げタイプだ。


リアサスペンションの構造も大きく変更しているため、タイヤハウスを大きく造り替え、ショックアブソーバーのマウント位置も大きく変更している。


燃料タンクは安全タンク化。トランク下の燃料タンクを排除したことで、サスペンションのアーム類の長さや位置を大幅に変更することに成功している。

Nostalgic SPEED vol.003 2014年 3月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text : Nostalgic SPEED/編集部 Photo : Akio Hirano/平野 陽

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