創世期のアウトバーンに君臨した豪奢なベンツ220SカブリオレA 1

初の完全戦後型メルセデス・ベンツ

 第二次世界大戦で敗戦国となったうえに、東西に分割されてしまったドイツ。特に軍需生産も担っていたダイムラー・ベンツ社は、連合軍の爆撃によって、旧ドイツ各地に建設されていた生産工場の大部分を失ってしまうが、それでも戦後1946年には戦前モデルの継続生産から再起を図ることになる。そして、第二次大戦後に新規設計されたモデルがようやく登場するのは53年のこと。現在のEクラスの開祖「180」とその6気筒版である「220a」。今なお「ポントン」の愛称とともにファンから愛されているリムジーネ(ドイツ語でセダン)が本格復興の第一歩となったのだ。

 一方、リムジーネが戦後型に進化したのちも、戦前モデルから細々と進化した旧モデルのまま踏襲されてきたクーペ/カブリオレは、丸2年遅れとなる55年になって、やっと正式にフルチェンジ。220aからツインキャブ化されるなどのアップデートが施され、現在の「Sクラス」につながる「S」を初めて冠した「220S」と時を同じくしてデビューしたクーペ/カブリオレ版「220Sクーぺ」および「220SカブリオレA」として、翌56年5月から発売された。

 カブリオレについては、第二次大戦前以来のメルセデスの伝統に従えば4〜5座の「カブリオレB」とすべきところなのだが、ボディ下半身に対してトップがコンパクトに映る軽快感を強調するためか、あえて「カブリオレA」を名乗っていたといわれている。

 シャシーの基本は、ポントンから派生したトレー型フレーム。バックボーンからクロスメンバーを生やし、さらにフロアパネルも溶接した強固なものである。サスペンションは前ダブルウイッシュボーン/後スイングアクスルの4輪独立懸架。ホイールベースは220aリムジーネから120mm短縮され、近代的な3ボックスのクーペ/カブリオレのボディが、ダイムラー・ベンツ社ジンテルフィンゲン工場のスペシャル部門で架装されていた。

 一方、機関部も220Sリムジーネから流用したもので、エンジンは直列6気筒の2.2l SOHC。ツインキャブレターを組み合わせ100psのパワーを得ていた。さらに58年に追加された「220SE」では、燃料噴射化によって115psをマーク。当時としてはかなりの高性能車として、急ピッチで整備が進んでいたアウトバーンにて君臨したのである。





ノスタルジックヒーロー 2018年4月号 Vol.186(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Hiromi Takeda/武田公実 photo:Daijiro Kori/郡 大二郎

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