カローラ史上最強! の20バルブを搭載しちゃった74年式カローラ、ダルマセリカも|クラシックトヨタに心を寄せるカリフォルニア・カーライフ Vol.2

オーナーの一回り年下の奥さんモナ・リン・ジュマモイさんと、2人の子供は6歳のキャラちゃんと5歳のケイデンくん。2人にもそれぞれ好きなクルマがあって、ケイデン君のお気に入りはセリカ。それも、ジュマモイさんが短期間だけ所有していた黄色いRA21が好きだったようで、今でも「僕の黄色いセリカは?」と聞かれることがあるそうだ。キャラちゃんのお気に入りは赤いカローラ。セリカに集中するために一度手放そうと思ったときに、「私のクルマを売らないで」と言われて以来、手放すことができなくなってしまったとのこと。

続)アメリカ発! ニッポン旧車の楽しみ方 クラシックトヨタ編


一度はトヨタ販売店にまで勤めたジュマモイさんだったが、残念なことに職場での折り合いがうまくいかず、方向転換をせざるを得なかった。社会的に需要の高かった看護士になるため勉強をし直して、現在は地元病院のER(救急救命室)に勤務する。

12時間勤務の間には交通事故、刃物や銃の事件の被害者など、100人を超す数の患者が、ひっきりなしに担ぎ込まれてくる。


「ERの以前にはICU(集中治療室。計画治療を行う)にいましたが、ERは『今この患者をどう救うか』という瞬間が連続する医療現場です。

ものすごくストレスのたまる仕事です。

だから家では仕事を完全に忘れるために、趣味をたくさん持つようにしています」


 勤務中は単に仕事として役目をこなすように努めていて、目の当たりにする患者の事故や事件について考えたり感情的になったりはしないという。



新居を探していた3年前、外からこの家を一目見て「ここに決めた」と思ったという現在の自宅。3台が悠々と収まるガレージは「お父さんの部屋」。床屋の廃品の椅子に座りながら、時にはシガーをたしなんだりもする。

6速MTのFJクルーザーでオフロードへも


 ゴルフも好きですよ、というジュマモイさんの趣味は、クルマも自転車もオンロードとオフロードの両刀使い。6速MTのFJクルーザーを駆って本格的なオフロードへも出かける。

「このクルマは意外と本格派ですよ。ヘッドライトのところまで水につかったこともあるけれど、ちゃんと走っていました」


 看護師になって12年、その間にはモナさんとも職場で知り合い、2人で家庭を持つまでに至った。それでもジュマモイさんは「心はメカニック、仕事が看護師」という。

クルマに手をかける情熱は、プロのメカニックを目指していた頃と何ら変わることはない。


 初めて乗ったセリカが懐かしくて、次のセリカを探していた6年前のこと。

このとき目に止まったのが、実はカローラだった。自宅から1時間弱のオークランド市にあるショップ「パフォーマンスオプションズ」にこれを持ち込んで、自分の好みに仕上げてもらった。



セリカを探していたときに買ってしまったという74年式カローラ。アメリカのファンの間では「ピーナッツ」と呼ばれる2ドアセダンである。パフォーマンスオプションズのガシアさんの手によって、日本国内向けの20バルブエンジンを搭載。トランスミッションと足回りはAE86から移植した。ホイールなど、日本から輸入した部品をふんだんに使っているのが自慢。

ハーネス類はミルスペックに2.4L化された1台

 メカニック魂が再び頭をもたげたジュマモイさんは、今年になって黒いRA20セリカを手に入れると、自分で改造に挑戦した。ガレージを借りて友人の手助けも受けながら、エンジンからサスペンションまで、すべて自分でこつこつとやり遂げた。その間約7カ月。週2回休日ごとにガレージに通うのに、モナさんには解体屋に行くように思わせておいたのだという。

「何にも持って帰ってこないから、おかしいなあと思っていたんですよ」というモナさんが、仕上がったセリカを見つけたのは、何とフェイスブック。「これは誰のセリカ?」と聞かれてしまったジュマモイさんは、とうとうことの顛末を打ち明けたそうだ。



3台目の所有となる71年式セリカST(RA20)は、初期型のこのシンプルなデザインが好きでずっと欲しいと思っていたのだそうだ。ようやく改造作業が完了し、撮影の2日前になって初めて自宅まで運転してきたとのこと。


愛車を運転しているときには自然と笑顔になって、何もかも忘れることができるのだという。通り過ぎるドライバーが声をかけてくれたり、サムズアップをしてくれることもよくあるそうだ。


「美しい形、シンプルだけどエレガントな、そんなクラシックトヨタがたまらなく好きなんです」

 ガレージにはそんな思いの詰まったトヨタが収まる。モナさんも「家のローンさえしっかり払ってくれれば、ね」と、クルマの趣味を理解してくれる。

 ガレージ付きの大きな家、ガレージを満たす大好きなトヨタ車、そしてトヨタを一緒に楽しんでくれる家族。

「将来、息子のケイデンが、自分と一緒にガレージでトヨタをいじっている姿が目に浮かぶんですよ」

 こんなうらやましいカーライフ、なかなか手に入れられるものじゃない。

パフォーマンスオプションズでトータルチューン



12歳で初めて運転してからクルマ一筋というガシアさんは、ポルシェのメカニックとしてキャリアを積み、独立した後は自分で何でもできるワンストップショップを築いた。(写真右)穏やかなガシアさんの口調とは対照的な、強烈なグラフィティ調の外壁が目印のショップ。裏のほうでは友人たちが敷地の一部を使わせてもらって、クルマの改造整備をしていた。



ジュマモイさんが友人のような付き合いをしているパフォーマンスオプションズのオーナー、ジョーイ・ガシアさん。



この日セリカのお披露目をすると、パフォーマンスオプションズに居合わせた人たちの談議がすぐに始まった。

渦中の人となったジュマモイさんはうれしそうで、始終笑顔が絶えなかった。

内外装はオリジナルのままのこのセリカは、03年式トヨタ・タコマから移植したエンジン(2RZ型2.4ℓ)とトランスミッションを搭載。

ワイヤ及びハーネス類はミルスペック(アメリカ軍規格)品という手のかけようだ。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年12月号 Vol.154(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text & photo:Masui Hisashi/増井久志

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