トヨタエンジンに換装した20代オーナー!|68年式 メルセデス・ベンツ250SE vol.3

       

芸術的なエンジンスワップ

このマスクから、エンジンスワップ旧車であることをうかがい知ることはできない。しかし、ヘッドライトはバルブマウントを加工してHID化するなど外観はそのまま実用性を考えられたモディファイがほどこされている。

エンジンは、ZS15系のクラウンから、3L水冷直列6気筒の2JZ型を移植。

メンバー加工などの荒技は必要なく、搭載スペースを確保することはできたが、マウント類のワンオフ製作や、ヒーターパイプやパイピング、ハーネスの加工やワンオフ製作など、地味だが難易度の高い作業の連続となった。

ボンネットを開けて眺めたとき、「エンジン載せ替えました」というカスタム臭は微塵も感じられない。こうしたエンジンスワップではノーマル風に見せることの方がはるかに難しいのだ。


メーカーも国籍も時代も違うエンジンをこれだけ自然に載せ替えられるのは、作り手側に相当のノウハウとこだわりがあるからこそ。



メタルパーツだけでなく、樹脂パーツも美しく磨かれている点やウオッシャータンクを安易にバッグタイプにしていない点に注目。
見えない部分では、配線類は処理の美しさだけでなく、純正配線の機能を生かし自己診断機能も利用できるように接続することで、万が一エンジン不調に陥っても修理が容易に行えるようにするなど徹底的にこだわっている。エンジンはノーマルで、ミッションも同じS15系クラウンから移植。マスターバック&シリンダーは100系マークⅡ用を流用し、「走る」だけでなく「止まる」性能もブラッシュアップ。同時にキャリパーもオーバーホール。パワステはクラウンのポンプとベンツのギアボックスを組み合わせてパワーステアリング化。ミッションでは他車用のエクステンションハウジングを流用し、ベンツオリジナルのスピードメーターを動かすためのワイヤリング加工も施している。



ダッシュボード下に装着すると目立ってしまうためエアコンユニットは黒く塗装したうえでトランク奥に装着。リアトレイに送風口を設置し、室内にクールエアを送る。フロントのコンデンサー&レシーバーをつなぐ配管はフロア下を這わせる形でワンオフしている。



250SEやオートマチックのエンブレムはすべてオリジナルを残してある。


ノスタルジックヒーロー  vol.166 2014年 12月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:HIRANO AKIO/平野 陽

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