turbo の5文字はパワーとスピードの象徴|BMW 2002 TURBO 1

       

近代ターボ車ヘの歴史を紡ぐ分岐点となった名車


ダウンサイジングが絶対的なよりどころとなった現代。それを支えるエコロジー技術としても認知されるターボ過給だが、1970〜80年代のターボはごく一部の高性能車にのみ許された先端技術だった。「turbo」の5文字は、当時のエンスージアストにとって、まさしくパワーとスピードの象徴とも言うべき意味を持っていたのだ。

 そんな高性能ターボ時代の幕を開いたのは、ヨーロッパ製量産車として初めてターボを採用し、73年秋のフランクフルトショーでデビューしたBMW2002ターボだった。

 航空機エンジンの分野では、60年代の段階で既に豊富なターボ経験を有していたBMWだが、その技術力を自動車にも応用するため、まずはモータースポーツを試験場として選んだ。くしくもこのプロセスは、2002ターボ登場の約半年後にデビューした、ポルシェ930ターボと同じである。

 69年、のちにBMWモータースポーツ社(現在のM社)となるBMWワークスチームは、当時大人気を博していたヨーロッパ・ツーリングカー選手権(ETC)で総合タイトルの対象となっていたグループ5カテゴリーに向けて、ターボチャージャーを装着した2002tik(末尾の「K」はKompressorの頭文字)を投入。ポルシェ911などの強力なライバルを向こうに回しながらも、シーズンのコンストラクターズ・タイトルを獲得した。



「TURBO」と「2002」を逆文字でプリントしたシールは、2002ターボの象徴。当時はまねするステッカーが数多く売られていた。



ホイールは14インチのRSワタナベの8本スポーク。オーナーはホイール、タイヤとも純正も保管しているという。



シェイプの深いバケットシートが、この時代から既に標準装備されていた。表皮はビニールレザー。



リアにはソフトなウレタン製スポイラーを標準装備。これも当時は流行を呼んだ。


ノスタルジックヒーロー  vol.163 2014年 06月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Hiromi Takeda/武田公実 photo:Daijiro Kori/郡 大二郎

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