めざましい戦闘力を発揮し王者に君臨した名車|72年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-R Vol.3

ノーマル然としたエンジンルーム。ソレックス40PHH(4型)のOHやハーネスの引き直しを行い本来のポテンシャルを取り戻したS20型ユニット。オプション扱いであったブレーキのマスターバックも装備する。

       
今回紹介する72年式は、世界の名車が集まるアメリカのRMオークションでオーナーのWさんが落札。いざ日本に持ち帰って走らせてみたところ、3000rpm付近で息継ぎがあり、ベストとはいえない状態だった。

 そこで、GT-Rに精通する千葉県木更津市にある「TAオート」の安藤正代表を頼って持ち込んだ。徹底的にチェックしたところ、CDIの不良とハーネスがショートしていることが判明。メインハーネスを引き直し、ソレックスのOHを行うなど、細部にわたって整備を行い、本来の走りを取り戻した。

 現在は、気難しいといわれるS20型エンジンも一発始動。アクセルを踏み込めば、高回転までキレイに吹け上がるようになっている。仕事で海外を飛び回っているWさんは多忙のため、まだ乗れていないが、帰国した際には、お気に入りの箱根のワインディングに走りに行くのを楽しみにしているそうだ。



メーター類が集約されてスポーティーな印象が強まったコックピット。ラジオやヒーターはオプションだが、装備している車両が多い。コンソールの小物入れにフタが付いたのもHTの後期モデルから。



GT-Rにはクライニング機構がないフルバケットタイプのシートが標準となる。HTとなり後席への乗り降りのため、跳ね上がるシートレールが採用された。助手席のサンバイザーもオプションだ。



レースに勝つためにホイールベースを短縮し、ワイドトレッド化やボディの剛性アップ、そして軽量化。その結果、GT-Rはめざましい戦闘力を発揮した。


ノスタルジックヒーロー  vol.197 2020年 02月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Daisuke Ishikawa/石川大輔 photo:Koichi Inaba/稲葉浩一

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